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最先端な田舎づくり?「半農」芸人が地域住民の心をつかむ|京都府

2017/07/15 13:00

吉本興業が2011年にスタートした全国47都道府県「あなたの街に住みますプロジェクト」。芸人達が地元の企業や自治体、住民と組んで地域おこしに挑む。

過疎化が進む地域、人手不足に悩む農業。そんな2つの課題に挑む若者がいる。堂本栄司、23歳。吉本美紅、20歳。ふたりの前向きな姿勢は、地域住民の心をつかむのだ。

6月下旬の平日、午前10時38分。京都府北部の丹後半島にある山間の小さな駅に、1両編成の電車が到着した。するとホームにいた堂本は車内に乗り込み、大きな銀色の保冷ボックスを運び出した。中身は、30分前に5つ先の駅で積み込まれたスイカだ。生産農家から委託を受け、それを〝王国〟で1個900円で販売するという。

パソナグループの子会社で西日本最大級の道の駅「丹後王国」と、京都丹後鉄道が、6月1日から始めた、乗客と荷物を一緒に運ぶ〝貨客混載〟であ る。「農業の振興を目的とした事業としては全国初の試みで、農家の出荷負担が大幅に軽減される」と京丹後JCの野木教貴理事長は解説する。

堂本たちは、そうした農産物の集荷や販売のほか、高齢者施設や飲食店への配達を行う。朝は毎日畑仕事をし、農作業に精を出す。じつは彼らは、自身に特別なミッションを課しているのだ。〝半農半X〟である。農業で自分が食べていく分はまかない、残りの間は「X」、つまり自分のやりたいことに費やす。そんな生き方をしたいと考え、今年4月に移住してきた。堂本は言う。

「吉本興業が京都府や丹後王国と立ち上げた事業の斡旋で、おばあちゃんの民家を見つけ、住み込みを始めました。お手伝いをしながら自給農のあり方を学んでいます。だけど仕事から夜帰ると、毎日のように玄関に近所の人が持ってきた大量のおにぎりが置いてあり、食事には困っていないんですよ」

野木氏は笑う。「おすそわけですね。ここではよくあることです。だけどふたりの話を聞いてびっくりしました。本当に熱心ですね。地域にどっぷりと溶け込んでいますよ。私は逆に地元の魅力を再発見しました(笑)」

「新しい生き方を提案し、ここを最先端の田舎にします。あとはうーん、彼女が見つかればいいのに」と堂本。それを聞いた吉村はこうつぶやき、畑に 向かうのだった。「何しに来とん。しっかりと耕すことができてからや」


野木教貴◎1982年京都府京丹後市生まれ。2005年京都精華大学卒業。08年野木纏家入社。09年京丹後JC入会、15年創立50周年実行委員長、16年副理事長を経て、17年理事長に就任。スローガンは「輝く未来へ全力挑戦! 〜踏み出せ一歩!力の限り!〜」。

せんのりきゅう◎ボケ担当「吉本美紅」(写真右、1996年広島県三次市生まれ)、ツッコミ担当「堂本栄司」(同左、93年奈良県桜井市生まれ)のコンビ。2016年に結成し、今年で2年目。17年に京都府住みます芸人(きょうと半農半芸芸人)に就任。KBS京都「おやかまっさん」などに出演中。

Text by Hideyuki Kitajima|Photographs by Shinya Kondo