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芸人が「和室」を売りまくる!そこに秘めた想いとは?|秋田県

2017/09/15 13:00

吉本興業が2011年にスタートした全国47都道府県「あなたの街に住みますプロジェクト」。芸人達が地元の企業や自治体、住民と組んで地域おこしに挑む。

「リビングの奥には和室があります。どうぞ障子を閉めて畳の上で横になってみてください。どうですか。温泉旅館のような趣になるでしょう。ご家族 がくつろげる最高の空間になりますよ」

そんなトークで、注文住宅を売りまくっている男が熊本にいる。住みます芸人の、もっこすファイヤーだ。

舞台は住宅展示場である。そこは複数の大手住宅メーカーがモデル住宅を設営し、来場者に比較検討させる場だ。当然、メーカー同士のライバル意識は強い。ところがもっこすは、「奥さん、今度はこっちだよ」などと言って、そこを縦横無尽に飛び回り、次から次へと各モデル住宅を説明して回るのだ。ときには単刀直入に欠点を指摘することもあるという。それでもメーカーは文句を言わない。なぜなら、もっこすはなんと〝ノーギャラ〟で販売の委託を受けているからである。

「だからお客さんに信用されるのです。奥さま方には〝説明にいやらしさがない〟なんて言われますよ(笑)。契約戸数の実際はわかりませんが、たぶん、メーカーのトップセールスマンの2〜3倍は売っているでしょう。おかげさまで地域の住宅着工に貢献できています」と、もっこすのたくは言う。

国土交通省によると熊本県の今年6月の新設住宅着工戸数は、前年同期比37%増の1253戸となり、全国平均の1.7%増を大きく上回った。特に持ち家(注文住宅)は104%増の656戸と断トツの1位となっている。

まさかこれ、もっこすの仕業とか?そんな愚問に、熊本JCの田中敦朗理事長は、「昨年4月に起きた熊本地震の復興需要ですよ」と答えてくれた。

もっこすが、無料で〝和室を売る〟には訳がある。彼らの出身地の熊本県八代市は、畳表の材料となる、い草の一大産地である。だが90年代後半から中国産の輸入が急増し、地域農家が壊滅的なダメージを受けた経緯があるのだ。それを知る田中理事長は、そしてこう語るのだ。「ただでさえ和室は住宅居室の洋式化によって需要が低下しています。そんな逆境を、震災特需に乗りながら、したたかに、そして草の根的に、地元再建に取り組むもっこすファイヤー。そんな地域おこしの同志がいることが頼もしく思えます」


田中敦朗◎1977年熊本県熊本市生まれ。2000年熊本県立大学卒業。07年熊本市議会議員、現在3期目。06年熊本JC入会、13年副理事長、14年日本JC国際アカデミー委員会副委員長などを経て、17年熊本JC理事長に就任。スローガンは「萬有愛護 感謝を基底に全てに臨め」。

もっこすファイヤー◎ボケ担当「のりを」(1981年熊本県生まれ)とツッコミ担当「たく」(同年熊本県生まれ)のコンビ。2003年に結成し、11年に熊本県住みます芸人に就任。川尻応援隊、すぎなみフェスタPR大使。テレビ熊本「英太郎のかたらんね」、くまもと県民テレビ「テレビタミン」などに出演中。

Text by Hideyuki Kitajima|Photographs by Shinya Kondo