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成田市長はなぜ、シャンパン3本を注文したのか|千葉県

2017/12/15 13:00

吉本興業が2011年にスタートした全国47都道府県「あなたの街に住みますプロジェクト」。芸人達が地元の企業や自治体、住民と組んで地域おこしに挑む。

マグロの解体を実況していた千葉県住みます芸人のうっほ菅原が、本番中にもかかわらず涙を流して声を詰まらせたのは今年11月のことである。その日、成田山新勝寺の表参道にある居酒屋では、うっほが主催した「マグロ解体ショー&お笑いライブ」が開かれていた。遅れてやってきた成田市の小泉一成市長は、シャンパンを3本も注文し、そして客席からそっと声をかけたのだ。「誕生日おめでとう。遅れましたけど、あのときのお礼です」  

それは5年前の2012年のことだった。うっほが駅前の路上でライブをしていたとき、たまたま通りかかった市長が、「ライブ会場を探しているのだったら、行きつけの料亭を紹介しましょうか」と誘ってくれたのだ。山形県出身で地域にツテがないうっほにとっては、またとないチャンスである。  

彼は考えた。投げ銭ライブだと客単価はぜいぜい500円ほどにしかならない。会場は高級料亭。料理と雰囲気は付加価値になる。そこで弁当付きチケットにして2000円で告知したところ、地域のシニア層から予約が殺到したのだ。企画は継続案件となり、料亭は新たな客層を得て繁盛した。それ以来、市長は「彼がやることに間違いはないよ」と太鼓判を押すようになったという。
 
成田JCの川村佐平治理事長には、それと似たような体験がある。入会して1年目のとき、ご当地グルメフェスの出展者開拓を担当した。そこで地域で有名な鉄板焼きそば店を訪ねたところ、70代の店主に「食材と料理器具は提供するけど、俺はそんなイベントで焼かねえぞ。お前がやれ」と言われたのだ。  

ところが当日、店主はやってきて、何も言わずに店頭に立ち、そして黙々と終日仕事をしたのである。川村氏は言う。「私が全力投球で地域を駆けずり回っていたことを知って認めてくれたようです。地域の人との繋がりを初めて実感し、うれしく思いました。頑固親爺に育てられたのですね(笑)」 すると、それを横で聞いていたうっほは、こう語るのだ。

「舞台の袖から芸を盗むとは言いますが、私も小泉市長の背中を見て成長することができました。尊敬する成田JCのOBさんです」

川村佐平治◎1979年千葉県生まれ。2003年青山学院大学卒業。同年川村佐平治商店入社、13年代表取締役社長就任および川村佐平治襲名(9代目)。09年成田JC入会、14年専務理事などを経て、17年理事長に就任。スローガンは「敢為邁往」。

うっほ菅原◎1977年山形県生まれ。東京NSC8期生。2008年にゴールデンボーイズを結成し、11年に千葉県住みます芸人に就任。12年印旛郡栄町・元気づくり特命課の課長に就く。17年コンビ解散、ピン芸人となる。市川うららFM「うっほ菅原ジオ 新」などに出演中。

Text by Hideyuki Kitajima|Photographs by Shinya Kondo