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神話の聖地にやってきた異邦人 彼らがハマった「ご縁」とは?|島根県

2017/04/15 13:00

吉本興業が2011年にスタートした全国47都道府県「あなたの街に住みますプロジェクト」。芸人達が地元の企業や自治体、住民と組んで地域おこしに挑む。

八百万の神々が集う国、出雲。人々を幸せなご縁で結ぶ、そんな神話の聖地に移住する外国人が増えている。ブラジル人だ。市の〝縁結び定住課〟の調べによると、市内には29カ国出身の外国人が住んでいて、そのうち、なんと7割近くがブラジル人。数にして2036人、1375世帯だが、直近5年間で4割も急増しているのだ。出雲JCの成瀬公平理事長が説明する。

「市では、人手不足を解消するため、〝多文化共生推進プラン〟を進めています。2021年までに、定住5年以上の外国人比率を3割以上に引き上げる取り組みです。ブラジル人たちは、主に市内にある村田製作所の工場の就業者とその家族。特に16年8月のリオデジャネイロ五輪以降、現地で仕事にあぶれた人たちが新天地を求めてやってきたのです。真面目な人が多く、弁護士や元公務員もいます。彼らは地域を気に入っていて、本国からどんどんと仲間を呼び寄せているようですよ」

とはいえ、ブラジル人にとって日本は地球のほぼ裏側にある国。気候も文化も大きく異なる。ではいったいなぜ、出雲は彼らにとって住みやすい地域になっているのか。事の発端は、島根県住みます芸人の奥村隼也だ。彼が出演するローカルテレビの「しあわせグルメ」がブラジル人に人気なのである。奥村は言う。

「地元名産を生かした料理を紹介してみたら、意外にも若いブラジル人の主婦たちに受けたんです。例えばイチジクやカンパチですが、でもこれって、実はブラジルによくある食材。偶然ですが、これもご縁ですね(笑)」

実は、奥村は芸人になる前は、東京の外苑前にあるイタリアンレストランで腕を鳴らしたプロの料理人だったのだ。常連客で歌手の平井堅に「本場ナポリよりも美味い」と唸らせたほど。そんな奥村には、レシピ本の出版依頼もあるとか。しかし彼はこんなことを言うのだった。

「僕の役割は、ここにわざわざ引っ越してきたブラジル人たちを飽きさせず、幸せになってもらうこと。それって地域おこしの真髄ですよね。レシピはネットで無料公開します。人と人との〝ご縁〟をいただいていますから、〝ご円〟は十分ですよ」


成瀬公平◎1979年島根県出雲市生まれ。2001年千葉大学卒業。同年成瀬司法書士事務所入社。11年出雲JC入会、15年専務理事、16年副理事長。同年日本JC中国地区協議会副会長。17年出雲JC理事長に就任。スローガンは「独立自尊 〜川を上り、海を渡れ〜」。

奥村隼也◎1985年福井県小浜市生まれ。2008年NSC(吉本総合芸能学院)東京校入学(14期生)。09年卒業、同時デビュー。コンビを経て、13年からピン芸人。15年島根県住みます芸人に就任。山陰ケーブルビジョン「まつえのおいしい情報番組しあわせグルメ」などに出演中。

Text by Hideyuki Kitajima|Photographs by Shinya Kondo