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沖縄の海を守りたい『サンゴに優しい日焼け止め』

2020/07/23 09:00

『海を守りたい』という強い思いから、2017年にクラウドファンディングで集めた資金で、サンゴに優しい日焼け止めの販売を開始した沖縄県出身の呉屋由希乃氏。『海の大事さ』『自分と地球とのつながり』をテーマに全国で啓蒙販売し、人と自然の共存、海の豊かさを守る大切さを発信している。
現在、女性起業家としての経験も活かし、女性活躍推進にも取り組まれている呉屋氏に話を伺った。

【日焼け止めでサンゴが死ぬ】
“昔のようなシュノーケルポイントがない・・・”、“私が知っている綺麗な海じゃない・・・”
アメリカに留学していた呉屋氏が久しぶりに沖縄の海を見て感じたことだ。観光客が増え、開発されていく沖縄に対して、自分には関係ないと拗ねていた気持ちがあった。そんな時、国立公園のビーチで日焼け止めを塗っていたら「サンゴが死んじゃうよ」と、ダイバーに指摘されたという。今まで遠くの誰かのせいにしていたが、自分もサンゴに害を与えてると知り、ショックを受けた。このままではいけないと思い、呉屋氏は調査を始めた。すると、ハワイでは環境に有害な日焼け止めに関して、科学者や行政、政治家などが関わり使用自粛など啓蒙されており、無害な日焼け止めも流通していたが、日本では関心が薄く商品も販売されていなかった。“海外にはサンゴに優しい日焼け止めがあるのに、日本にはない、誰も話をしていない・・・”生まれ育った沖縄の自然が失われていくのを目の当たりしていた呉屋氏は、危機感を感じ現在の事業をスタートさせた。

【試行錯誤の日々】
この30年で世界のサンゴ礁が半分に減っていた。1年目はとにかく調べものをする毎日を送った。調べれば調べるほど社会の矛盾が見えてきた呉屋氏。誰かがやってくれていたら調べる必要はないが、日本では初めてだったため、技術的に可能なことなのか、本当に悪くないのか。事業を開始して2年目はクラウドファンディングで資金集めをし、354万円の支援を受け、3年目に商品を販売。資金ゼロからでも社会課題解決へ向かって起業できるという事を、男女差や年齢、学歴も関係なく想いがあれば夢は実現可能だということを伝えることができる経験となった。そしてちょうどその年、公益社団法人 日本青年会議所が主催している《JCI JAPAN TOYP2019》(旧:人間力大賞)に出場し、環境大臣奨励賞を受賞した。起業してから3年間、色々な壁にぶつかってきた呉屋氏にとって、TOYPでの受賞は今後の活動を飛躍させるタイミングとなった。青年会議所は同世代で、決断が出来る経営者も多く集まってる団体ということもあり、ビジネスチャンスは広がっていった。

【個人レベルでのSDGs】
「日焼け止めから環境問題を身近に感じてもらう事は“環境のために私ができること”を考えてもらうきっかけになっており、個人レベルでSDGs活動に気軽に参加することができます。日本のサンゴ礁のほとんどは沖縄に在るため、サンゴが地球温暖化や高波への抑制効果、食物や観光資源のため人間と共存していることは日本で話題になることは少ないでしょう。『サンゴに優しい日焼け止め』は店頭にあるだけで、サンゴや環境保全の話題があがるという効果があり(実績:関連リツイート4万)、使用する事で保全行動に手軽に参加をすることができます。」と呉屋氏。
結局、日本だけで『サンゴへの配慮ある行動』を呼びかけてもインバウンドへは伝わりにくいという理由や、日本人にもより興味を持ってもらうため、サンゴに有害な日焼け止めの成分規制の条例が制定された「パラオ共和国」や、アジア一の観光立国である「タイ国」に販路を開き、リゾート地でのサステイナブルな行動を提起している。現在、パラオパシフィックリゾートホテルやバンコクエアウェイズで機内販売中だ。
呉屋氏は、多くの人がSDGsに参画できるような商品展開をすることで、SDGs12,14,17にアクションを起こしていると考える。また、SDGsを実現している企業として、沖縄県内外でのイベントでの登壇等で幅広い周知活動にも努めている。 2018年にはクアラルンプールで開催された国連ハビタット主催「WUF9(世界都市フォーラム)」にてSDGsを発信する日本企業としてブース展示に参加し、世界中の参加者へSDGs参加を呼びかけ意見交換をした。

【持続可能な未来のために】
自然と私たちが共存しているという意識を当たり前のように持ち、持続可能な発展は実現可能というマインドセットが広がることで、より豊かな価値観での経済活動が行われるようになり、SDGsに挙げられるような「誰一人取り残さない」世界の実現に近づけると呉屋氏は考える。世界は変えられなくても、日本人が国内の自然を守り共存する姿を世界に示すことは難しくないはず。
呉屋氏は活動が継続して行えるよう、ソーシャルビジネスとして事業を運営しており、取材や講演活動などを積極的に実施して、一人の100歩より100人の一歩が大事だという事を伝え、行動を促している。また、企業がノベルティとして使用できる企画の商品も展開しており、より多くの方への訴求が実現している。環境問題を考える紙芝居を製作し自治体に寄贈する取組みや、売上の一部をサンゴ養殖基金に役立てるなどの活動も実施。
「『サンゴに優しい日焼け止め』という海洋生物に害を与えない商品を開発し、そして「自然に配慮する」というメッセージの届く商品名で販売することで、持続可能な未来を見据えた行動を提起しています。日本では沖縄にほとんど生息するサンゴの話題は上がることはなく、サンゴへの踏みつけの害や日焼け止め等の水質汚染など、気をつければ今すぐ対応できることがあるという事を伝え一人一人ができるアクションを呼びかけています。」と呉屋氏。
現在、ビーチクリーンなどの環境アクティビティにも力を入れており、旅行で訪れた人が考える機会を作り、環境への配慮を呼びかける活動を行っている。


呉屋 由希乃/Yukino Goya
ジーエルイー合同会社 代表取締役
https://www.coralisfriend.com/home

沖縄県出身。20代は東京/NYに8年間住んだ後、沖縄に戻りセレクトショップをオープンし、8年後に店舗売却とクラウドファンディングを実施し「サンゴに優しい日焼け止め」事業をスタート。
・2017 年 DBJ 女性新ビジネスプランコンペティション ファイナリスト
・東京都女性ベンチャー成長促進事業 APT Women 第1期生 (2017~2018)
・2018生物多様性アクション大賞 審査員賞

JCI JAPAN TOYP2019(旧:人間力大賞)環境大臣奨励賞 受賞

JCI JAPAN TOYP2020 HP:https://www.jaycee.or.jp/toyp2020/

text by キャサリン