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難民がいない社会を目指す『サダーカ』の活動

2020/08/07 22:00

第二次世界対戦以降、最大の人道危機といわれるシリア内戦。
2011年アラブの春の一環として始まったこの紛争も今年の3月で10年目に突入した。
死者は民間人11万6000人超を含めて、少なくとも38万4000人。1100万人以上が難民や国内避難民となっている。

2012年、このシリア内戦の状況に支援を行いたいと、青年海外協力隊や大学生など、シリア関係者の有志によりNGO団体『サダーカ』が発足された。
代表を務める田村雅文氏(以下田村氏)に話を伺った。

【シリアの現状を伝える】
2012年に設立してから、支援団体のイベントや大学での講演などでシリアの状況を伝えてきた『サダーカ』。
2012年にJICA地球ひろばで開催された協力隊まつりでは、アレッポ石鹸(シリアの都市アレッポで1000年の歴史をもつ無添加で作られている石鹸)やシリア物品の販売により、支援金を集め、協力隊や学生が撮影したシリアの写真をチャリティーポストカードにして多くの方に配布をするなど、シリアのイメージを膨らまし、関心を持ってもらうきっかけ作りをしていた。講演やトークライブなどでは、自分が現地に行き、見て聞いたことを話し、メディアだけでは分からない現地の様子を伝えた。
他にもワークショップや署名活動、様々な団体のイベントに参加し、シリアのために何が出来るかを一緒に考える機会を多くの人に提供してきた田村氏。
「基本的には目の前の人を助けるだけではなく、根本的にどうしたら戦争の無い状況を作れるのか、ずっと考えていました。東日本大震災などの天災を見る度に、人災をやっている場合ではないと思っていました。(田村氏)」
当時の講演会の様子

【若い世代へ繋ぐ】

田村氏は2017年公益社団法人日本青年会議所主催 第31回人間力大賞(現:JCI JAPAN TOYP)で準グランプリ(NHK会長奨励賞)を受賞した。

「人間力大賞を知ったのは『サダーカ』で映像制作をしている人からの紹介がきっかけでした。過去の話を聞き、発信を大事にしている方達が応募していることを知りました。当時『サダーカ』でイベントを実施すると、集まる人は同じような顔ぶれで、一般企業の方とはほぼ関わることもなく、偏っていました。裾野を広げたいと思い、応募を決めました。(田村氏)」
2012年から活動をしてきて5年ほどで、シリアの状況は少しずつ変わってきており、日本でも、シリアをはじめ中東に関心を持つ人が増えてきたという。2017年頃から、中学高校生、大学生などの若者から色々な疑問が湧いてきていることを実感している。
田村氏はグループを大きくしたい、有名にしたいというわけではなく、関心を持つ人が増えて、クラウドファンディングで支援金を集めるような若い世代が出てきてくれることを期待している。

【シリア内戦から10年】
現在は、国際乾燥地農業研究センター(ICARDA)でエジプト(カイロ)を拠点に仕事をしている田村氏。『ICARDA』は、水の少ない中東での農業支援を目的に国連が出資した国際機関である。研究者の方たちがより良い環境で働くための環境を整えている。カイロに住んで3年が経つ。
「『サダーカ』の活動自体は今年いっぱいで終了しようと思っています。シリアの紛争をなんとか止めたいと活動をしてきましたが、始まった戦争を止めることは非常に難しいことだと、設立して8年感じてきました。本来であればこのような団体がない社会が理想です。ICARDAで働き始めてから、現地を見る機会も増えてきたので、別の形で中東地域に貢献していきます。今自分がいる場所を利用して、若者の支援に関わっていきたいと思っています。(田村氏)」

今後、どのように日本と中東を関わらせていくのか、田村氏自身がどのように周りと関わり、大きな流れを生み出していくのか、日本で世界で活躍することを期待している。


田村 雅文/Masafumi Tamura
シリア支援団体サダーカ 代表
http://www.sadaqasyria.jp/
公式ブログ:https://ameblo.jp/sadaqasyria/

第31回人間力大賞(現:JCI JAPAN TOYP)準グランプリ NHK会長奨励賞 受賞

JCI JAPAN TOYP2020 HP:https://www.jaycee.or.jp/toyp2020/

text by キャサリン