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Riccardo Mayer / Shutterstock.com

企業や地方自治体がSDGsに取り組む理由

2019/01/07 13:00


そもそも日本の中小企業のうち、創業時に自社の企業理念を設定しているのは53%で、裏を返すと47%の中小企業は企業理念を持っていません。そうすると、「ただ儲かることをやろう」と経営がブレてしまうということは往々にしてあります。

しかし、現在はSDGsに基づいた企業のパーパス・ステートメント(社会における存在意義)が重要視される時代です。パーパス・ステートメントとは、Googleであれば「世界中の情報を整理する」、リクルートでは「一人ひとりが輝く豊かな世界の実現」といった形で表現されています。中小企業にとっても、パーパス・ステートメントを設定することは「ぶれない経営の軸足をつくる」「世界のビジネスの潮流に乗れる」「自社のブランディングにつながる」といった明確なメリットが存在しているのです。

「パートナーシップ」で目標を達成しよう

加えて、近年では地方創生においてもSDGsが重要な役割を果たすようになってきています。今年6月、内閣府は全国29自治体を「SDGs未来都市」に、そのうちの優れた10事業を「自治体SDGsモデル事業」に選定しました。ほかにも地方自治体が独自でSDGsモデルをつくろうとする動きは多く、北海道八雲町はこれまで行われてきた「学校整備」や「地熱開発の促進」といった様々な施策を結びつけ、SDGsに基づいたESG統合モデルを提示しました。今後はSDGsの目標達成に向けて、地方自治体と地元の中小企業がタッグを組み、地域の発展に寄与するケースも増えてくるでしょう。

このように、中小企業を経営するにあたって、SDGsの実践は必要不可欠になってきています。しかし現在は多くの方がSDGsを表層的にしか捉えられていないと思います。SDGsの背景には、世界的なビジネスの潮流があり、企業の存在意義が問われているということ、また、実践するためのイノベーションをもたらす論理がある、ということを皆さんにしっかりと理解していただきたい。SDGsを実践するということは、その後ろに数多くの可能性が存在しているのです。

SDGsを実践するにあたって必要な「ムーンショット」や「デザイン思考」といった考え方は、欧米のビジネスシーンではもはや一般的な考えです。こうした考え方で重要となるのは、柔軟な発想力。JCの皆さんは私よりもお若いはずなので、頭の柔らかさで私に負けてもらっては困ります(笑)。ぜひ、SDGsが掲げる目標をどうやって達成していくのか、みんなで柔らかい頭になって考えていきましょう。

田瀬 和夫◎1967年福岡県生まれ。東京大学工学部原子力工学科卒、同経済学部中退、ニューヨーク大学法学院客員研究員。92年外務省に入省し、国連政策課、人権難民課、アフリカ二課、国連行政課、国連日本政府代表部一等書記官等を歴任し、2001年から2年間は「人間の安全保障委員会」事務局勤務。05年より国際連合事務局・人間の安全保障ユニット課長、10年から3年間は国連広報センター長としてパキスタンに勤務。14年デロイトトーマツコンサルティングの執行役員を経て、17年SDGパートナーズを設立。現在同社代表取締役CEOを務める。04年から「国連フォーラム」の共同代表も務めている。

文=田瀬 和夫