• HOME
  • 引きこもり救世主!~自己満足から使命感へ~

引きこもり救世主!~自己満足から使命感へ~

2020/06/19 12:00

一般社団法人若者教育支援センターの代表を務める廣岡政幸氏は約15年前から、引きこもり、不登校、家庭内暴力などの悩みを抱える若者に寄り添ってきた。廣岡氏は同センターが運営するリハビリテーション(社会復帰支援施設)で代表を務めている。リハビリテーション(社会復帰支援施設)は「1つ屋根の下で、家庭の温かい愛情を注ぐ」をモットーに、様々な問題を抱える若者をサポートし、家庭内問題の修復に取り組んでいる。共同生活を通し、愛情、対話、カウンセリングなど、様々な方法を用い、若者の一歩を共に築いている。また精神科医、臨床心理士によるメンタルケアをはじめ、企業による就労支援、学習および進路指導、資格取得などのサポートを行い、健全な社会参加ができることを支援している。
(写真一段目右が廣岡氏)
【引きこもりの支援とは?】
廣岡氏は15年前、居場所がない子どもたちのために寝食を共にし、生活改善をサポートする全寮制のフリースクールを設立した。各地からの問い合わせが多く、現在は全国展開している。
「不登校児は年々増えています。現在146,000人で、中学生30人に一人が不登校ということになります。近年は非行やいじめが原因ではない、原因が分からない引きこもり型が増えてきました。」と廣岡氏。
10年前くらいから、ゲーム依存や家庭内暴力など、外より内にこもる子どもが増えてきた。また、その頃から子供だけではなく、大人の引きこもりにも対応している。全国のフリースクール合わせて160名ほどで、下は小学校5年生、上は52歳、全体の8割が30歳以上だという。30歳以上の引きこもりとはどういうことなのか?
「行政と児童相談所は繋がっているわけではなく、不登校が起きた時にすべての機関で情報が共有出来ているわけではありません。どこかが支援をして中途半端に終わり、たらい廻しにされているうちに未成年ではなくなり、更に対応が難しくなるという流れになっています。長期複雑化して、行政機関や社会で対応出来なくなった方を私たちは対応するようになりました。彼らをサポートしていく中で、職業訓練校や派遣業、心の病や発達障害に対しての病院などの必要性を感じました。自分たちの内部ですべて対応出来るシステムがないといけないと、時代の流れに合わせ、ワンストップで伴走型支援を内部で出来るようシステム化しました。」
全寮制の支援を失くしてしまえば、私生活が滅茶苦茶な生徒は次の日来ないことがある。廣岡氏は一番大切な“生活させること”をベースに考えている。社会生活(他人と生活)させながら考える力をつけて自立させるために近親者は連れていけないルールだ。生活を整えることによって、仕事、学業にチャレンジしようという準備を整るのが役目だ。
(親からの相談を受ける廣岡氏)
【居場所は自分で作りあげるもの】
廣岡氏は幼少期の事故で足に障がいがあり、それが原因でいじめを受けていた。学校に行かないという選択肢はなかったが、自分を大きく見せようと、反発し、非行に走った過去がある。悪いことをしても仲間は集まるが、心の寂しさは消えなかった。当時は気付かなかったが、信頼出来る仲間、安心して帰れる家、自分が守られているという安心感を求めていたのだ。高校はわずか1年間で非行が原因で高校は退学となり、すぐニュージーランドに留学することとなった。ニュージーランドではホームステイをしていたのだが、当然、他人の家で生活することは自分の家の生活とは全く違った。そこで初めて、冷静に物事を考えるきっかけが出来て、客観的に自分のことを見れるようになったという。“居場所は自分で作るものだ。”その考えから、仲間を作ることができ、やり直すことが出来た。
「今の仕事を始めてから、少年院に入り、行先がない子どもたちを対応していましたこともありました。再犯する子どもも多かったです。それでも少年院に入っている間、やり直せるきっかけなどを自分の体験を通じて話していました。こういった子どもたちの中には早い段階で将来を諦める子どもが多いです。それは彼らの周りにかっこいい大人がいなかったからというのもあります。しかし、自分はそれでいいのかと問いかけ、とにかく勉強をするように話をしていました。私自身、少年院から出たときにハンデを追わないよう、少年院にいる間にも高校卒業資格を取れる仕組みを作りました。」自分の無力さを感じさせ、危機感を与える。今までの自分が通用しないことを感じさせることが出来るのに海外は丁度良かった。海外留学をさせて、英語を話せるようになり、自然と勉強を始める子どもたちを多く見てきた廣岡氏。自分の意思で選択させて、歩かせる。
「教育活動をやってきて一番感じるのは、男の子の方が長期複雑化することが多いことです。適切な母子分離が出来ることが非常に重要です。母親と距離が近いほど依存も大きくなります。私は留学した際、母親の存在の有難さに早く気付くことが出来ました。全寮制のフリースクールもそうですが、環境を変えるだけでこちらが特別な支援をしなくても回復出来る子は多いです。」と廣岡氏は親との適切な距離を取る重要性を説いた。
(海外留学に向かう生徒たち)
【自己満足から使命感へ】
廣岡氏は自身が経験したことを活かし、教育活動に長年携わってきた。今まで3,000~4,000人の方を向き合い、サポートしてきた。2014年に公社団法人 日本青年会議所主催 人間力大賞(新:TOYP)で総務大臣奨励賞を受賞した当時の話を聞いた。
「人がやっていない新しいことに取り組むと必ず批判も起こります。当時、社会や行政も介入できず、困っているのは親だけという状況の家庭もありました。自分が行っていることが拉致、暴力と言われることもあり、民間として、社会の中に必要なことに取り組んでいくということがどれほど難しいことが実感しました。心は折れますが、助けてほしいという声が止まらりませんでした。客観的に批判している人と関わっている当事者では全然違います。」
受賞したことで、今まで自己満足でやっていた活動が社会に必要なものであると評価され、メディアでの取り上げられ方も変わり、求められるハードルも高くなった。廣岡氏自身も社会に何が出来るだろうと考えるようになったという。受賞はゴールではなく、さらに進化するきっかけになった。また、他分野で社会貢献している方との繋がりも増え、コラボレーションしている。2020年、TOYPの審査員を務める廣岡氏が考える人間力とは?
「時代によって社会に必要なものは変わってきます。どんなに良いことをやっていても、伝えることが出来なければ広がっていくことはありません。色々な若者たちが賛同する突出した魅力、人を惹きつけ、社会貢献やビジネスが出来る力ではないでしょうか。」
自分に熱い気持ちがあったからこそ、若者の熱量も感じとることが出来るのだろう。TOYPを経て活躍してくれる若者を待っている。

JCI JAPAN TOYP概要はこちら↓
https://www.jaycee.or.jp/toyp2020/outline/
(人間力大賞受賞時)


廣岡 政幸/Masayuki Hirookka
1981年千葉県生まれ
一般社団法人若者教育支援センター代表/ワンステップスクール学校長
URL:https://masamills.com/company.html
◆NPO法人 LIFESET 理事(障がい者支援)
◆NPO法人 ノースガイア 理事(障がい者支援)
◆NPO法人 国際学校建設支援協会 参与(国際支援)
◆株式会社 LINK 取締役(高齢者介護)
◆内閣府 一億総活躍国民会議 講師
◆2014年 人間力大賞(新:TOYP)総務奨励賞受賞

text by キャサリン