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損得でなく自分の「思い」で仕事を

2020/03/20 00:18

2020年、TOYP(旧:人間力大賞)の審査員を務める山崎大祐氏。現在、株式会社マザーハウスで代表取締役副社長として、日々邁進している。国際経験も豊かで、コメンテーターとして様々な業種の方々との交流がある山崎氏の経歴を紹介する。

【エコノミスト時代】
山崎氏は慶應義塾大学総合政策学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社した。もともと金融関係の仕事をしたいと思っていたわけではなく、金融の仕組みそのものが間違っているのではないかという疑念があったため、敢えて金融のど真ん中に立って確かめようと色々な情報が掴めるエコノミストという仕事に興味を持った。当初は4年で退社し、アジアをバイクで横断する旅に出ようと思い描いていたが、成果を出すことで、会社に自分が望む環境を用意してもらい、やりたい仕事もさせてもらっていくなか、思い描いていた志を忘れていった。

【運命の出会い】
そんなゴールドマン・サックスで不自由なく働いていた山崎氏に大学時代の後輩から『バックを買ってくれないか』と連絡が入った。その後輩が現マザーハウス代表取締役社長を務める山口恵理子氏だ。
山口氏は大学時代にバングラデシュに行き、現場とかけ離れた援助のあり方に疑問を抱いたことがきっかけとなり、途上国バングラデシュでカバン作りの事業を始めていた。日本でバックを売る術もなく、人脈もない山口氏が頼ったのがゼミの先輩であった山崎氏であったのだ。山口氏の根本的な理念である「途上国の貧困の解決」は山崎氏が大学時代に感じた問題意識だった。山口氏の話を聞くうちに熱い思いがよみがえり始めていた。

【思いで仕事をする楽しさ】
山崎氏はゴールドマン・サックスで仕事しながら、空き時間でマザーハウスの仕事を手伝っていた。当時600個以上のバックを作ってネット販売しようとしたところ、まったく売れなかった。このままだと会社が潰れてしまうと、商社や広告代理店、コンサル業に勤めている友人に力を借り、連日遅くまで戦略会議を開いていた。そこで損得関係なく、思いをもって仕事をする楽しさを知った。「自分の思いで仕事をしているヤツには、成長曲線はかなわない」と。副業を続けていたある日、大手有名百貨店での催事に出店できることになった。これは売れると思い、手伝いで店頭に立ったが、まったく売れず閉店間際に初めてひとつ売ることが出来た。ゴールドマン・サックスでは億単位の債券や株を扱っていた山崎氏は、お客様の財布から1万円をだしてもらうことの難しさを初めて知った体験であった。エコノミストであったが、本当の意味での経済は何も分かっていないと感じ、仕事を辞める決心をした。

【経営を学ぶ日々】
山崎氏は山口氏とともに株式会社マザーハウスを立ち上げ、本格的に参画した。すべて自分で進めていかなければいけない中で、多くの気づきを得ることが出来た。経済アナリストだったが、モノを売る経路をまったく知らなかったという。サプライチェーンを自社で担っているというビジネスモデルであるため、次々と店舗をオープンさせて事業を拡大していかなければいけない。そんな中、古参社員が2名会社を退職した。他の社員から、主な理由は山崎氏のマネジメント対応にあると指摘されたという。さらに月給18万円という給与の安さも原因の1つだった。山崎氏は実際に社員と同じ給与額で生活をしてみると、想像よりも辛い生活であった。そこで自分の気持ちやプライドを優先するのではなく、会社が良くなるよう、理念が実現するために周りの意見を聞くことにした。マザーハウスでは会社と個人の関係が「働かせる」と「働かされる」という関係ではないという。各スタッフが互いに協力し合いながら、会社の夢に関わり、そして各個人の夢も達成していくことを目指しており、互いに夢とかやりたいことを認め合って働いている。

【素直に生きる】
ゴールドマン・サックス時代の年収から20分の1になった山崎氏だが、まわりからは「素直に生きていますね」と言われるという。
山崎氏は30代前半だが、いま現在、本当に好きなことを見つけたなどとは思っていない。夢中になれるものを見つけなければ、と焦っている若者も多いが、好きなものなんて10年も経てば変わる。いまの自分の価値観と素直に向き合って、まずアクションを起こすことが大切だと考えている。これまで山崎氏が経験していたことを共有し議論する「マザーハウス・カレッジ」という交流の場も設けており、『できることは素直に何でも取り組んでいきたい』と前向きだ。

山崎氏も審査員もつとめるTOYP(旧:人間力大賞)の応募はこちら↓
https://www.jaycee.or.jp/toyp2020/outline/



山崎 大祐(Daisuke/Yamazaki)
株式会社マザーハウス 代表取締役副社長
https://www.mother-house.jp/

2006年、山口絵理子氏と共に「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を理念とする株式会社マザーハウスを立ち上げる。2007年から取締役副社長として、本格的に経営に参画。
2019年3月より、同社代表取締役副社長に。年間の半分は途上国を中心に海外を飛び回り、マーケティング・生産両サイドを管理。「Warm Heart, Cool Head (熱い情熱と冷静な思考)」この2つを両立しながら社会を変革していくために、挑戦を続けている方々をゲストに招き、対談を通じて現在の挑戦につながるきっかけや、結果を生み出すための戦略・思考を議論する場「マザーハウスカレッジ」や同じテーマで経営者向け経営ゼミなども代表として運営しており、最近ではTBSの「グッとラック」の金曜日コメンテーターも務めるなど、多様な活動をしている。

text by キャサリン