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日本青年会議所にしかできない、ダイナミックな発想で世界にインパクトを与えよう

2020/01/21 12:00


真の国際感覚を身につけよ

麻生:よく、これからの時代にビジネスパーソンに求められる資質は国際感覚だと言われますよね。そんなことを言っている時点で、実は国際的ではないのです。1000年前、1500年前は、何の情報もない中で、日本人は朝鮮半島や中国を目指し、当然のように異文化を受け入れてきました。その感覚のほうがよほどインターナショナルだと、私は思うのです。

温故知新という言葉があるように、人間は歴史から様々なことを学べます。日本の常識が必ずしも世界に通用するとは限りませんが、人間としての素養、知識、魅力は、国籍などまったく関係ないのです。

昨年を振り返ると、ラグビーのワールドカップがとてつもない盛り上がりを見せました。当初は、日本代表の半数近くが外国出身選手であることに違和感を覚えた人も多かったはずです。開幕前にはそのようなチームが成功するか不安視もされました。しかし、現実はどうだったでしょう。「ワンチーム」というスローガンの下、多国籍集団が日本の勝利に向けてひとつにまとまり、目標達成のためにひたすら戦い続ける選手たちの姿に日本中が感動しました。

強豪国に比べて、体格面で見劣りのするチームがベスト8という目標を達成したことに価値があるのは言うまでもありません。しかし、そこに至るまでには人々の想像を絶する練習量があったはずです。また、チームアイデンティティを強固にするため、何度もミーティングを重ねたはずです。結果よりも、その過程にこそ本当の価値がある。それを察する力のある日本国民だからこそ、外国人選手を当然のように「日本代表」として受け入れたのです。

昨今、ダイバーシティの必要性が叫ばれていますが、ラグビー日本代表がそれを証明しました。日本国中が彼らの健闘に拍手を送った。この現象は、とても大きな変化だったと私は思うのです。これまで大相撲に外国人は要らないとか、外国人労働者が日本人の仕事を奪うといった不毛なことが論ぜられてきましたが、こうした主張が日本人の国際感覚をむしろ鈍らせてきたのです。

石田:私もこの度のラグビーワールドカップ2019では、日本代表を応援し、幾度となく胸が熱くなるシーンがありました。これが、ダイバーシティのなせる業なのだと実感できた瞬間でした。



麻生:アスリートの場合は世界で活躍するには特別な能力が必要でしょうが、一般のビジネスパーソンが世界に出ていくのに特殊な力なんて必要ありません。日本でやれていることが仮に世界でできないとしたら、それは“慣れ”の問題だけだと私は思うのです。外国人だからといって、必要以上に気を使うべきではないし、言葉だって正確に喋らなくてもいい。日本人を相手にするときと同じ感覚で接して、経験値を上げていくだけでいいのです。

石田:確かに世界で活躍している日本人は誰もが堂々としています。麻生先輩も、世界中のどこにいても自分のスタイル、スタンスを変えないからこそ、他国の要人からも尊敬されているのですね。

麻生:外国にいようが、日本にいようが、大事な場面で緊張、委縮してしまい、自分本来の力を出せないときに、人は悔いを残すのです。経験を重ねることでしか、自分自身に打ち勝つことはできません。JCI日本に必要なのは、メンバーに「場」を与え、「経験」を積ませることではないでしょうか。メンバーは、「経験」から得た「自信」を磨いていくことが大切です。また、地域の理事は、メンバーの得手、不得手を掴み、適切なポジションを部下に与えること。何度失敗してもいいのです。経験を積んでこそ、組織も人も成長できるのですから。JCI日本の会頭だって、初めて京都会議でスピーチするときは、どうしてもたどたどしい。それでも、10月になれば、堂々と喋れるようになります。10カ月の間に、1万人の前で話すことが苦ではなくなるのです。これが経験を積み重ねた人間が成長した姿なのではないでしょうか。

石田:今日は素晴らしいたくさんのアドバイスをありがとうございました。JCI日本には麻生先輩をはじめ、諸先輩方が築かれてきた文化が確実に受け継がれています。しかし、その一方で自己実現の精神に関していえば、ダイナミックな発想がいつの間にか薄れてしまっていたのかもしれません。今年、もう一度、我々は原点に立ち返り、よりチャレンジングな活動を堂々と行っていきたいと思います。

麻生:今日は少し厳しいことも言いましたが、JCI日本には本当に期待しています。皆さんの豊かな発想で、素晴らしい未来を切り拓いていってください。


麻生 太郎◎1940年福岡県生まれ。63年学習院大学卒業。66年 麻生産業入社、73年麻生セメント社長就任。71年 JCI飯塚入会、75年日本JCアジア青年の船特別委員 会委員長、78年JCI日本第27代会頭就任。79年衆議 院議員初当選。96年経済企画庁長官、2003年総務大 臣、05年外務大臣を歴任し、08年第92代内閣総理大 臣に就任。12年より副総理、財務大臣、内閣府特命 担当大臣(金融)。

石田 全史◎1980年福島県生まれ。中央学院大学卒業。双葉不動産代表取締役。04年JCI浪江入会、12年同理事長、 15年日本JC国際協力関係委員会委員長、16年同福島 ブロック協議会会長、17年同東北地区担当常任理事、 18年同専務理事、19年同副会頭を経て、20年に同第 69代会頭就任。

Text by Hiroshi Shinohara | Photographs by Shuji Goto