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日本青年会議所にしかできない、ダイナミックな発想で世界にインパクトを与えよう

2020/01/21 12:00


かつてのJCIにあったチャレンジ精神



麻生:第2次安倍政権発足後、政府が観光ビザの発給要件を緩めた結果、約800万人だった外国人観光客が今や4000万人に届こうとしています。福岡市もインバウンド消費を増やす政策をたくさん行い、素晴らしい成果を挙げています。しかし、JCI日本がインバウンド対策をミッションのひとつとして掲げるなら、福岡市と同じアプローチをとる必要はないと私は思っています。

石田:JCIらしい活動、JCIこそができる運動もあるということですね。

麻生:あまり知られていませんが、外国人観光客の訪日理由のひとつに、「美容体験」があります。ファッション業界では、日本の美容師の技術は世界でも屈指のレベルだという評価が定着していて、それに気付いた人が、日本のどの美容師のカット、トリートメント技術、あるいは美容室のサービスが秀逸なのかを徹底的に調べ上げました。賞賛すべきはその後の行動です。フランスのミシュランガイドから着想を得て、日本の美容室をレストランのように星の数で評価する、「カミカリスマヘアサロンガイド(KAMICHARISMA HairSalonGuide)」という出版物の製作にこぎつけたのです。

この本は12カ国で翻訳される予定だそうです。本の発売前には、カミカリスマ実行委員会を立ち上げ、「KAMICHARISMA2020東京アワード」の第1回大会を開催し、優れた美容師と、サービスに秀でた美容室を表彰しました。同アワードは、厚生労働省や国土交通省が後援し、私が実行委員会会長を務めました。外国人の多くが飛行機に乗ってまで、日本のカリスマ美容師にスタイリングしてもらいたいと考えているなんて、ほとんどの人たちは知らないでしょう。

こうしたアイデアは、本来、様々な業種のトレンドにアンテナを張っているJCI日本の青年たちから生まれてもいいはずです。何しろ、この企画を考えたのは元国家公務員ですから。原点回帰の観点で言うならば、かつてのJCI日本にはこうしたチャレンジスピリッツがありました。ぜひ、行動を起こしてほしいと思います。

石田:東京の青山や銀座のカリスマ美容師の存在は知っていました。ヘアカット、スタイリング技術をもった職人は地方にもたくさんいるはずです。地方の美容師にも光が当たれば、それこそ地域活性化にもつながります。そういう着眼点をもつことが大切なのですね。

麻生先輩のご指摘はまさに的確で、JCI日本が目指すべき組織改革の方向性を示されています。先日、秋田の大曲に行きました。ある空手の道場が外国人にたいへん人気があるという情報を得て、興味が湧いたのです。外国人の空手熱は凄まじく、道場近隣のホテルは、外国の方々で埋め尽くされていました。

その道場が行っているサービスというのがユニークで、一カ月間、そこで修行を積めば、その記念として黒帯をプレゼントするというものでした。ここにニーズがあったのです。我々、青年こそが率先して取り組むべき活動だと感じました。地方にいるからこそ、都会では知り得ない情報、需要がたくさんあります。その情報、需要をもとにどのようなプランニングを立てて取り組むべきか、そのことに注力しなければなりません。

麻生:大曲は花火でも有名です。日本の花火師にとって、「大曲の花火」に参加するのは、大きな目標のひとつですよね。この花火大会をJCI日本主導のもと世界各国で開催できたら、たいへんな話題になるでしょう。なにしろ、これほど壮麗な花火大会は、世界のどこを探しても見当たりません。

ところが、花火というのは火薬と同じですから、大掛かりなイベントをやろうとしても通常の輸送船ではまず運べません。では、そこで諦めるべきでしょうか。“火薬が輸出できないのは日本の法律の問題なのだから、それを変えるような運動を起こせないか。日本の文化を世界に広げるためなのだから、大規模な船をつくってもいいのではないか。役所に足を運んで調べてみよう”。青年にはこんな大胆な発想があってもいいと思うのです。

「大曲の花火」はあくまでも一例で、世界を舞台にクリエイティブな活動をするためのヒントは日本全国のあらゆる地域に眠っているはずです。JCI日本は、地方と世界を直接結びつけるような大胆な事業を考えてもいいのではないでしょうか。地方だからダイナミックなことはできないという発想では、何のために存在している組織なのか、その意義を見いだせなくなります。

石田:生まれ育った故郷の文化に思いを馳せ、一方では別のLOMがどのような課題を抱えているか把握する。好奇心さえあれば、日本固有の文化を世界に広めようというモチベーションも生まれます。

Text by Hiroshi Shinohara | Photographs by Shuji Goto