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宮崎JC太鼓同好会と神楽のコラボレーション

「神降臨」の地で始まった、ある挑戦|宮崎県

2018/06/15 13:00

吉本興業が2011年にスタートした全国47都道府県「あなたの街に住みますプロジェクト」。ここでは、お笑い芸人たちがJCの事業の神髄を探り、それを明日の地域おこしにつなげようとする。

─宮崎の持つ本当の価値は何か。インタビューの冒頭、宮崎JCの長友剛理事長にそう問うと、けむに巻くように笑った。「確かに、わかりづらいですよね。目に見えないことだからです」と言うのだ。いったいどういうことか。

高千穂峡や日南海岸、鬼の洗濯板がある青島。宮崎には大自然が生んだ美しい観光スポットが多い。温暖な気候に恵まれゴルフを楽しむ人も多く、農業が盛んだ。

だがその一方で、〝天孫降臨の地〟として語られることは多くない。『記紀』(古事記と日本書紀)では、天孫の邇邇藝命(ににぎのみこと)が、天照大神(あまてらすおおみかみ)の神勅を受けて高天原(たかあまはら)から天降った舞台として描かれるなど、実は日本の文化やルーツを知るうえで極めて重要な地域なのだ。「神隠れの天岩戸神社は有名でも、初代神武天皇が祀られる宮崎神宮や、国づくりの精神が宿る平和台、禊ぎ池を訪れる人が少ないのはそのため」と長友氏は指摘する。

では、そんな目に見えない無形資産は、どう伝えればいいか。宮崎県住みます芸人の嫁恐竜は、人力車のアルバイトをしながら、あるいは地域のラジオ番組でそれを常に問う。が、「生真面目に日本神話の話をしても聞き手には届かない」と佐藤利洋。そこで取り組んだのが、小学校での休日出前授業だ。相方の戸波雄輔はこう語る。

「漫才のやり方を教えながら、ネタに神話や伝説を織り交ぜてみたら爆発的に受けたのです。そんな子供たちと一緒に、付き添いの親たちも大笑いしながら学んでいるようですよ」

すると、長友氏は大きく頷いた。宮崎では今年10月4日から4日間、全国大会が開かれる。その開会式で、古事記や日本書紀の壮大な物語を演出し、宮崎の持つ本当の価値を、全国から集まる1万6000人のJCメンバーに直接伝えたいという。

「各地域をリードするJCメンバーが理解すれば、自ずと地域全体に伝播する。嫁恐竜さんの試みと同じ構図ですよ」と長友氏は共感する。そんな彼らのやりとりを聞いていると、なぜかそこに神秘的な空気が流れているような気がした。天岩戸に隠れてしまった天照大神に、どうやって外に出てもらうかを相談する神話を面白おかしく聞かされたからか。もっと宮崎を知り、八百万の神々の声を聞きたくなった。


長友 剛◎1979年宮崎県生まれ。福岡国土建設専門学校卒業。2006年宮崎JC入会、13年JCプログラム実践委員会委員長(日本JC)、14年専務理事、17年副理事長などを経て、18年理事長に就任。スローガンは「挑戦〜希望に満ちた宮崎の実現〜」。

嫁恐 竜◎ボケ担当「戸波雄輔」(写真右、1984年宮崎県生まれ)とツッコミ担当「佐藤利洋」(同左、同)のコンビ。2009年結成、11年宮崎県住みます芸人に就任。18年4月に「ちきんなんばん」から「嫁恐竜」に改名し、人気加速。

Text by Hideyuki Kitajima|Photographs by Ryo Higuchi