• HOME
  • 誰もが幸福を実感できる社会へ向けて 先進都市・福岡市から、イノベーティブなまちづくりを学ぼう!

誰もが幸福を実感できる社会へ向けて 先進都市・福岡市から、イノベーティブなまちづくりを学ぼう!

2019/11/15 15:00

市民の潜在能力を信じ、革新的な政策で福岡市を日本有数のスマートシティに育てた高島宗一郎市長。失敗を恐れず、挑戦する風土はなぜ生まれたのか、鎌田長明会頭がその秘密に迫った。

鎌田長明(以下鎌田)福岡市は近年、まちづくりの先進性、テクノロジーを活用したダイナミックなプロジェクトなど様々な文脈で世界中から注目されています。

高島宗一郎市長の強力なリーダーシップなくして、今日の日本社会をリードするイノベーティブな行政は実現されなかったでしょう。そんな福岡市の政策の中でも特に私たち日本青年会議所がインスパイアされているのは、経済、防災、SDGsの3つの取り組みです。

高島宗一郎(以下高島)どれも非常に大事なテーマなので、話が止まらなくなりそうです。

鎌田:私たちJCは約9割が経済人、そのうちの4割ほどが中小企業の経営者で構成されている団体です。日本の人口が減少していくなかで、JCも旧態依然の組織だとこれ以上の成長は見込めないという危機感をもって各地で活動しています。

最初に経済のことをお聞きしますが、福岡市民だけでなく、全国の若者たちから高島市長が圧倒的な支持を集めるのは、人材の育成に多大な力を注ぎ、スタートアップが活躍できる環境を整備したことが挙げられるでしょう。チャレンジ精神にあふれた若者にとって、福岡市は自らの夢をかなえることのできる都市のひとつとして認知されていますね。

行政がスタートアップを支援する理由

高島:よく誤解されるのですが、そもそも福岡市は、開業率を上げたいからスタートアップを支援しているわけではありません。テクノロジーが日進月歩でアップグレードされるなかで、その利便性を享受しているいまの消費者ニーズに応えるには、旧来型の商品やサービスではない、新しいものを生み出していかなければなりません。

そのために、リスクをとってチャレンジしようというのがスタートアップの本質なのです。また、ICT、AI、IoTといったテクノロジーは、高齢者や障害者、子育て中で働きたくても働けない女性たち、技術はあるのに存続の危機に立たされている中小企業の社長など多くの人々の救いとなる新しいサービスを生み出すでしょう。

リスクをとってチャレンジする人が尊敬される社会を創れば、あらゆる分野でイノベーションが起こり、本当に必要とされる新たなビジネスが続々と生まれてくると思います。そういうムーブメントがこの福岡市で起きているのは、素晴らしいことだと思っています。

鎌田:私は大学時代に起業したのですが、当時は学生起業家というのはとても少なかった。あれから十数年経って、若者たちのマインドがだいぶ変わってきていると感じています。

高島:ただ、スタートアップが自らの力だけで成長し、社会にインパクトを与えるには、相当な時間が掛かります。福岡市では、その成長を加速させるために、経験・資金・販路をもつ既存企業と先進性に優れたスタートアップを結びつけるスタートアップセレクションというマッチングイベントを行っています。

既存企業の多くは、自社に新規事業の企画部署をつくっても斬新なアイデアがなかなか生まれないという悩みを抱えています。だったら、スタートアップのイベントやワークショップに積極的に顔を出し、一緒にコラボしたほうが効率もいいし、既存企業にとっては生産性の向上や新しいビジネスの創出につながります。福岡市発のムーブメントは全国に広がっています。

チャレンジングな全国8つの自治体の首長たちとともにスタートアップ都市推進協議会をつくっていて、毎年、各自治体がセレクトしたスタートアップを集めて、首都圏の企業とのビジネスマッチングを行っています。

鎌田:重要なポイントは多様性だと思います。若者だけが集まって活動しても世の中に大きなインパクトを与えるのは難しいですよね。

Text by Hiroshi Shinohara | Photographs by Shuji Goto