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温泉OGの温泉一人旅のススメVol.1

2019/11/21 12:00

温泉OGの温泉一人旅のススメVol.1

日本は温泉大国であり、国内温泉施設は20,000軒を超える。
大小さまざま、全国各地の温泉地には宿泊施設があるものだが、近年温泉旅館など若いカップルでの利用やシングルユースが増加傾向にあるとのことで、それを受けて露天風呂付客室のカップルプランや自分へのご褒美シングルユースプランを設けている宿泊施設も少なくない。

また若い女性をターゲットとしたモダンな造りや、インフィニティ温泉に挙げられるような絶景ロケーションを売りにする温泉、高級アメニティを用意したりスパを併設をしたりしている施設も見かけることが多くなった。

時代の潮流に合わせて温泉業界も持続可能なモデルを打ち出し独自のブランディングに賭けてきていると言えるだろう。

著者も無類の温泉好きであり、関西圏を中心にそのような「一度は行ってみたいラグジュアリー温泉」をお一人様で年間50泊ほど過ごしている。
一人でも多くの方に温泉一人旅の魅力を伝え、温泉業界が持続的に活性化し、また新たな魅力ある温泉が生まれ、温泉一人旅の良さを広げる方が増える、そしてさらにお一人様へのサービスが向上という良循環が生まれればと思い立ち、
そこで、著者が人に本当は教えたくない温泉旅館やホテルと一人旅の楽しみ方を皆様にお伝えしていこうというのが本企画の主旨である。

ビジネスリーダーとして日頃活躍されている皆様の休息に役立てていただければ幸いである。

記念すべき第一回は著者がもっとも多く利用している京都の奥座敷、亀岡にある湯の花温泉「和のオーベルジュ翠泉」を紹介したい。

翠泉は3階建て全13室のこじんまりした佇まいのお宿であるものの、部屋や設備の一つひとつが洗練されており、非常に心地よく快適な時間を過ごせることは間違いない。
また、特筆すべきは美しく手入れされており、四季によって違った顔を見せる庭園がある点で、露天風呂付き客室6室からは露天風呂に入りながら庭園を望むことができる。



スイートルームは2室あり、一番大きな部屋はリビング、10畳の和室、ウォークインクローゼット、テラス、トイレ、そしてバスルームと露天風呂がついた113㎡のお宿の名を冠するスイートとして申し分ない設備である。





著者も何度かシングルユースで利用しているが、さすがに一人で利用するには広すぎて寂しくなるので、シングルユースでは「露天付きゆったり和室ダブル」をお勧めしたい。
1室しかないが、56㎡にリビング、寝室、内風呂があり、寝室横のテラスには椅子とテーブルのセットと露天風呂がついていてお一人様でも超快適に過ごせる空間である。



さて、それではそろそろ入浴を含め、一人旅の楽しみ方をお伝えしていこう。
一人旅なので、基本的に外出せずにお宿の中の魅力を余すことなく体験していただきたい。
14:00にはチェックインが可能なので著者は14:00を目指していく。翠泉は酒や菓子類の持ち込み可能なので、お酒を数本、スナックを少々買ってから向かう。
到着したら玄関先で出迎えをうけロビーへ。
ちなみに私はプレミアム顧客に認定されているらしく専用の室内履きスリッパが用意されている。認定基準は不明だが恐らく年間の利用日数だと思われる。
ロビーでは抹茶と季節に合わせた和菓子が用意され、庭園を眺めながら非日常への入り口に立ったことを実感しつつ、一服をいれる。
記帳を済ませ、部屋に通される。廊下を抜けた部屋のテーブルにはウェルカムドリンクがペールに入って用意されている。これもプレミアム顧客へのサービスとのこと。
早速、荷物を解き、スーツを脱ぎ、浴衣へと着替える。山間のお宿ということで、秋ごろは肌寒く感じるので、丹前を羽織り、いざ大浴場へ。

部屋の露天風呂?いえいえ。一人旅の通はまずは大浴場に向かうのである。清掃されたばかりの檜の薫る誰もいない大浴場を存分に一人で楽しむことができる最高のタイミングなのだから。



まずは掛かり湯をし、檜の内湯へ。湯の花温泉の泉質は非常に柔らかく、まるでお湯を纏っているかのように肌をやさしく包みこんでくれる。十分温まったら、全身をしっかりと洗い、日頃溜まった疲れと垢を落としていく。シャワー台は5台しかないが、全て埋まったところを見たことがない。13室しかないゆえに殆ど入浴の時間が被らないからかもしれない。
しっかりと洗体したら、檜の内湯をこえて露天風呂へ。露天風呂の前には庭園からつづく小川が流れており、初夏の夜にはゲンジボタルが舞う姿に遭遇することもある。
30分ほど大浴場を楽しんだら、湯上り処で少し火照った身体を冷まし、浴場の外にある冷蔵庫から無料の良く冷えたコーヒー牛乳をとりだし、庭園を臨むデッキテラスで一息。

そこから部屋へと戻り、今度は買ってきた酒とつまみを取り出し、客室の露天風呂へ。
プライベートな空間でお湯に浸かったり、バスローブを纏い椅子に腰かけて読書をしたり、鳥の声に耳を傾けながら美しい景観を眺めたり、それぞれが思う贅沢な時間を存分に過ごしていただきたい。
著者はいつも日が落ちる前に準備し、食事処へ移動する。食事処も全て個室となっており、私のお気に入りは庭園が望める窓側の一番奥の個室「野分」だ。最近は何も言わずともこの部屋に必ず通されるのでありがたい。
翠泉のサービスの良さは一人ひとりの接客があたたかいのだが、適度な距離感を保って、ひっそりと細やかなサービスをしてくれる点にあると思う。例えば、こちらから何か依頼をしないかぎりチェックインからチェックアウトまで一切部屋にはスタッフが立ち入らない。基本的に全ての部屋はシモンズベッドで布団を依頼しなければ立ち寄ることもない。それゆえにプライベートな時間をよりプライベートに過ごせるのだ。

さて、料理の話にもどろう。和のオーベルジュというだけあり、料理長特選コースはどれも素材を存分に活かし、料理人のきめ細やかな技が光るものばかりである。
普通の宿は月替わりでコースを変えたりするが、人に合わせて毎回変えてくれる。
以前同じ月に3回訪問したことがあるが、その時もすべての料理が違っていたため、毎回驚かされ全く客を飽きさせない。そのようなところが何度も通いたくなる理由だろう。



余談だが、ずっと素晴らしい料理をふるまってくれていた料理長の鈴木氏は2018年7月に独立して京都東山区で自分の店を出した。本人がこだわり抜いた内装と翠泉で培った技を振るい非常に評判の店となっている。最近ついにミシュランの星を取得したとのこと。
著者も伺ったことがあるが、納得の味とサービスであった。

料理を堪能しつつ、メインにきたら、ここで仲居さんに「いつものセットを」と声をかける。いつの頃からか著者が頼み出した晩酌セットである。手持ちの食材で小鉢や酒のアテを用意してもらい、料理長おススメの純米吟醸酒2合を添えたセットだ。

あとは部屋で食後の幸せな気分に浸りながら小休止。少し腹ごなしをしたなら、次は貸し切り露天風呂へ。庭園を歩き高台にある脱衣小屋へ。小屋といっても立派なつくりで、飲み物やアイスキャンディーもフリーで置いてある。貸し切り風呂は岩風呂となっており、大人5~6人は余裕で入れる広さ。虫の声しか聞こえない田舎の静かな夜を湯舟につかりながら堪能する。



部屋に戻ると夕食のときに頼んだ晩酌セットが届いており、ほどよい量で上品な味付け小料理を肴にお勧めの日本酒をちびちび呑みながら、次の日の仕事の準備などを軽くこなす。

あとは寝る前に気のすむまで客室の露天風呂を楽しむ。湯は熱すぎず柔らかいため、何度入っても、また入りたくなる。一人旅なので誰に気兼ねする事もなく何度でも入ればいいのだ。これが一人旅の贅沢さだ。
春は庭の大きな枝垂れ桜がライトアップされ、初夏には蛍、秋には紅葉、冬には雪化粧された庭と四季折々で顔を変える景色を楽しみながらゆっくりと自分だけの時間を過ごして欲しい。露天風呂に浸かり、月を見ながら日本酒をやる。これもまた贅沢なひとときである。



チェックアウトは11:00なのでゆっくりと支度を済ませ、あとは京都に向かうもよし、嵐山に観光に向かうもよし。著者は仕事のため、大阪方面へ帰る事が多いが。

さて、少しは温泉一人旅の良さをお伝えする事ができただろうか。
まだまだ私のお勧めの宿はあるので、今後も希望があれば是非紹介していきたいと思う。

普段から頑張るビジネスリーダーに至福の休息を。
誰にも邪魔されない自分だけのプライベートな時間を。



温泉OG(おんせん おうじ)
profile:関西出身、30代独身の経営者。温泉一人旅をこよなく愛し、関西圏を中心に全国の温泉宿を旅している。特に露天風呂付の部屋を好み、シングルユースプランがなくても宿に頼み込んで宿泊する。どうしても2名からの利用の宿の場合は2名で予約して1名キャンセル代を支払ってでも泊まるほどのヘビーシングルユーザー。
周りからは忙しすぎてそんな時間無いのではと思われているが、年間50泊ほどこっそり温泉で過ごしている。