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津JCの事業「七夕笹流し」

津の「天の川」に息づく、ある勇気|三重県

2018/07/15 13:00

吉本興業が2011年にスタートした全国47都道府県「あなたの街に住みますプロジェクト」。ここでは、お笑い芸人たちがJCの事業の神髄を探り、それを明日の地域おこしにつなげようとする。

三重県住みます芸人のカツラギの石井肇には、自慢の夏祭りがある。地元の津市で催される「七夕笹流し」だ。1990年に津JCが始めたもので、毎年月日の夜、市内を流れる岩田川の観音橋に万人の市民が集い、願いごとを短冊に書いて笹に飾り、川に流す。そんな地域の風物詩なのだが、実は石井は子供のころ、その陰に秘められた、ある勇気を見て育った。

「ありえない、って思いましたよ。だってわざわざ、あの臭いヘドロの中に入っていくのですから」

日本一、汚い川。岩田川は、かつて地域でそう揶揄されていた。その昔は、夏場になると子供たちの格好の遊び場だったのだが、戦後は生活排水の流入などで汚れるばかり。次第にゴミ捨て場と化し、対応が遅れた行政は黙殺を決め込んだ。

そんなある日、ひとりの男性が立ち上がる。「あの清流を子供たちに伝えなければ」との一念から、勤め先の地方銀行を早期退職し、ヘドロのかき出し作業を始めたのだ。当初は、「どうせ売名行為だろう」などと陰口もたたかれたという。それでも毎日黙々と作業を続ける彼の行為に対し、真っ先に支援を表明したのが、津JCであった。

「通年事業として取り組み、清掃前後の写真を各所にパネル展示したのです。すると、企業や自治体が次々と後に続き、今では、各々が主体的に清掃するようになった」と、津JCの中川敬史理事長は説明する。一市民の勇気ある行動が、JCを経て地域社会に伝播し、市民意識の向上につながったのだ。

前出の石井は、よくこの話をラジオ番組でする。そして短冊には、こう書き続けたと明かす。「ありがとう」。津の「天の川」には、そんな感謝の気持ちが流れている。


中川 敬史◎1981年三重県生まれ。2008年三重大学大学院修了。同年ライフ・テクノサービス入社、12年常務取締役。同年津JC入会、14年夢津なぐ地域活性委員会委員長などを経て、18年理事長に就任。スローガンは「雲外蒼天〜自己の成長が未来を明るく照らす〜」。

カツラギ◎ボケ担当「石井肇」(写真左、1988年三重県生まれ)とツッコミ担当「石井彰」(同右、同)のコンビ。双子。高校野球ではバッテリーを組んだ。2014年結成、同年三重県住みます芸人に就任。FMいなべ「サタデーいなベーション」などに出演中。

Text by Hideyuki Kitajima|Photographs by Ryo Higuchi