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ヒューマン・セントリックの時代だからこそ、誰もが自らの夢を堂々と語れる組織をつくろう

2019/10/15 15:00



目標を叶えるWOOPの法則

石田:私たちJCも含めて、日本企業が多様性のある組織に生まれ変わるためには、ビジョンの打ち出し方も変えていかなければなりません。組織を活性化させてくれる人材を集めるために、リーダーはどのようなことを心がけるべきでしょうか。

DaiGo:たいていのリーダーはビジョンを掲げ、それを達成するとどれだけ素晴らしいことが起こるかをアピールします。目標達成の科学の観点から話をすると、これだけだと従業員のモチベーションを維持することはできません。そこに気付かないと、従業員の潜在能力を引き出すことは不可能です。

石田:つまり、目標に至るまでのプロセスを決めるほうが大事だということでしょうか。

DaiGo:その通りです。世界では、ハンブルグ大学の心理学の教授、ガブリエル・エッティンゲン博士が提唱したWOOPの法則がとても注目されています。目標を具現化させるためのプロセスの中で最も大切なのはネガティブシンキングを入れることだという理論です。

石田:これまではポジティブ思考を勧める学者がたくさんいましたよね。

DaiGo:それは逆効果にしかならないと言われ始めているのです。WOOPは、目標達成の過程に必要不可欠な4つの行動パターンの頭文字をとった言葉です。Wは、「Wish」、最初のOは「Outcome」、次のOは、「Obstacle」、Pは「Plan」です。最初にビジョンや目標を決め、それが達成されるとどんな成果があるか。「Wish」と「Outcome」まではどの組織も明確にしています。

しかし物事というのは、順調に進んでいくことはまれで、必ず何かしらの壁にぶつかります。たいていの人は、そこでモチベーションを維持することができなくなるのです。この壁、つまり、「Obstacle」をあらかじめ想定できていれば、それに対してどう対応すべきか準備ができます。その方法を導き出すのが「Plan」です。このネガティブ思考を目標達成の過程に入れることで、ビジョンが一気に具現化に向けて動き出します。

ダイエットに置き換えて話をすると、体重が減り、ビジュアルがよくなれば、異性の自分を見る目が変わり、それが自信となって、仕事もうまくいくようになる。大事なのは、どうカロリー制限をするかです。ところが、目標までの道のりのなかで様々な誘惑が待ち受けています。上司に誘われて、飲みに連れていかれるかもしれない。飲んだあとにはラーメンを食べに誘われるかもしれない。その翌日には、社員の誰かがおいしそうなお菓子を自分に配ってくれるかもしれない。

つまり、あらかじめ、自分が目標を達成するために障害となる要素を、思いつく限りすべてリストアップしておくのです。実際、人間は、誘惑に弱く、それに抗える確率はわずか54%です。酒、ラーメン、おいしそうなお菓子を目にしなくてもいいように対策を考えておくことが「Plan」です。つまり危機管理能力が磨かれるのです。

このWOOPの法則に従うと、あらゆるジャンルで目標達成率が2倍に跳ね上がることが証明されています。5年以上の追跡研究を行っているので、正確な数字だと断言できます。ビジョンを上手に打ち出すためには、「Obstacle」、すなわち、ネガティブな思考をもつことが大事なのです。

石田:なるほど。組織のビジョンの中に困難が想定されていれば、何を第一のプライオリティにして仕事をすればいいかが明確になります。

DaiGo:すなわち仕事の効率が上がるということです。もうひとつ大切なのは、今度はそのビジョンを社内で共有するだけでなく、社会に発信していかなければなりません。JCさんは社会貢献活動をたくさん行っていて、志の高い組織であることを私はわかっています。なぜなら、お付き合いがあるからです。

しかし、一般の方々に果たしてそのことがきちんと伝わっているのでしょうか。

情報発信に必要な個の力

石田:JCは、情報発信にいま、とても力を入れていて、世の中に伝えたいことがたくさんあるのですが、なかなか成果が出ないのです。インフルエンサーとしても社会にインパクトを与えているDaiGoさんからアドバイスをいただけたらうれしいのですが。

DaiGo:基本的に大企業や多くの団体は、SNSを活用した情報発信を苦手としているようですね。SNSというのはあくまでも個人のメディアなので、組織の宣伝媒体としては本来向かないのです。ある人気俳優さんとファンクラブの関係を想像してみてください。その俳優さんに知名度と実力があるから、人はファンクラブに入会するわけです。そこには俳優さんのことをもっと知りたいという欲求があります。

SNSは、それと同じような仕組みなので、情報発信者は個人でなければならない。もちろん、企業が必死になって生み出したサービス、製品への思いを伝えるのは決して悪いことではありません。しかし、最低限、その企業のどういう人物が情報を発信しているのか明らかにすべきです。それが既存メディアとのいちばんの違いです。

石田:JCという看板が役に立たないということですね。

DaiGo:JCさんの地方の会議所のAさんがすごく面白い人で、役に立つ情報をたくさん発信してくれるという話であれば、バズる可能性はあります。誤解してほしくないのは、JCさんや企業のブランド力を否定しているのではありません。それがSNSというメディアの特徴だと言いたいのです。

石田:JCの中から、そういう人材を探すべきですね。

DaiGo:立場がある人だと、自分をよく見せないといけないので、思い切ったことができないんですよ。でも、社会的立場のある人が面白いことをするから人が集まる。

かつて、小泉純一郎元首相は、大衆の心を掴むのが非常に上手でしたよね。政治の話をするのではなく、身近な話題、例えば、X JAPANが好きだというギャップをつくったことで、逆に政治に関心のない人を引き込んだ。つまり、ネット社会では、そういう面白さが求められるのです。

石田:なるほど、人の個性にもっとフォーカスを当てるべきですね。その個性をどう活かすかはリーダーの資質如何にかかっている。JCは多様性を受け入れ、ヒト中心の組織を目指していきたいと思います。



DaiGo◎1986年生まれ、静岡県出身。慶応義塾大学理工学部物理情報工学科卒。ジェネシスヘルスケア株式会社顧問。新潟リハビリテーション大学特任教授。英国発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとしてTV番組に出演。その後、企業のビジネスアドバイザーやプロダクト開発、作家、大学教授として活動。著書は累計150万部を超えている。

石田全史◎1980年福島県生まれ。中央学院大学卒業。双葉不動産代表取締役。2004年浪江JC入会、12年同理事長、15年日本JC国際協力関係委員会委員長、16年同福島ブロック協議会会長、17年同東北地区担当常任理事、18年同専務理事を経て、19年同副会頭に就任。

Text by Hiroshi Shinohara|Photographs by Masahiro Miki