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ヒューマン・セントリックの時代だからこそ、誰もが自らの夢を堂々と語れる組織をつくろう

2019/10/15 15:00

メンタリスト、実業家、インフルエンサーなど、様々な顔をもつDaiGo氏。石田全史副会頭との対談では、なぜ、これからの組織にダイバーシティが要求されるのか、エビデンスとデータに基づく根拠を示してくれた。

男女混合チームが組織を活性化させる

石田全史(以下石田):本年度、日本青年会議所はSDGsを強力に推進し、この概念を多くの国民に理解していただこうと様々な取り組みを行いました。政府に政策提言したり、経済学者、教育学者など著名な方とも連携したり。組織一丸となって努力を続けた結果、一定の成果を挙げられたと自負しています。

しかし、日本全体のSDGsの達成度という観点でいえば、ゴール5の「ジェンダー平等を実現しよう」、ゴール17の「パートナーシップで目標を達成しよう」という取り組みに関しての評価は依然として低く、大きな課題となっています。日本政府もダイバーシティの重要性をスローガンに掲げているものの、なかなか社会全体に浸透していないのが現実です。

SDGsは、誰もが公平に幸福を享受できるビジネスモデルの構築を要求しています。DaiGoさんは、日本唯一のメンタリストとして活躍される一方で、多くの企業のコンサルティングもされています。ダイバーシティを実現するため、我々はどのようにマインドセットすべきだとお考えですか。

DaiGo:なぜ、ダイバーシティが重要かといえば、物事を多様な角度で見ると、新たなアイデアが生まれやすくなり、イノベーションが起こる可能性が高まるからです。そのためには既存の組織に縛られてはいけません。自分とは異なる考え方のできる人を積極的に組織に参加させる必要があるのです。

石田:まずは、男女間、世代間の溝をなくしていくことが前提になりますね。

DaiGo:その通りです。ビジネスの場合、男性だけのチーム、女性だけのチームよりも、男女混合チームのほうが生産性も高くなるというエビデンスがすでにあります。そこにLGBTが加わると、さらに組織力が強化されるというウォールストリートで有名なジンクスがあります。取締役会のメンバーにLGBTがいると、その会社の株価が上がるというものです。実際アップル社のティム・クックは同性愛者であることを公言しています。

世代間の断絶も当然なくしたほうがいい。ただし、こちらは条件つきです。ダイバーシティを推進するには、ヒエラルキーが最大の壁になります。例えば、昔ながらの経営者がミーティングに参加した場合、その人が独善的に意思決定をすれば、違う意見をもっていても誰もそれに抗えませんよね。年齢や地位に限らず、対等な立場で議論できる社風がないと、到底、ダイバーシティは実現されません。

私はオーナー経営者ですが、社員はみんな、私のことを呼び捨てや“君”づけで話しかけてきます。極端な例かもしれませんが、トップダウン型では組織は成長できないとわかっているので、それを認めているのです。

石田:JCの最大の課題は、女性会員が少ないことにあります。ここ20年間の統計を調べてみると、2000人だった女性メンバーが、いま3000人まで増えてきていますが、それでも全体の1割にしかすぎません。海外の青年会議所は男女の構成比がだいたい半々くらいです。何とか改善したいと考えているのですが。

DaiGo:JCさんはそもそも経営者が中心のメンバー構成なので、女性が少ないというのは理解できます。最近は、日本でも女性経営者が増えてきましたが、他の先進国と比べると、相当少ないですよね。


会社の利益より優先すべきこと

石田:DaiGoさんがおっしゃったように、私もJCを男女が活発に議論を交わせるコミュニティにしたいし、20代の若い世代がもっと活躍できる組織に変えていかなければいけないと思っています。実は、今年、世の中の問題を解決するために女性だけのJCをつくろうとか、LGBTのチームを編成しようという議論もありました。しかし、ダイバーシティ的には、よい発想ではないのですね。

DaiGo:本気で組織改革に取り組むのならば、まず、女性経営者がJCさんに加入すべき理由、利点がどこにあるのか精査すべきです。3000人の女性会員と話せば、そのヒントを得られるはずです。

女性というのは集団の中で能力を発揮するのが得意な人が多い。JCさんの会員になれば、思い描いていたプランが実行できるということを伝える必要があります。自分の夢をかなえられる組織だということを発信すべきだと思います。

石田:まさにそれこそがJCの課題だと思っています。

DaiGo:一般企業の例でいうと、女性がひとり取締役に入ると、企業の利益率は15%上昇するという研究データもあります。さらに女性のボードメンバーがひとり増えるごとに倒産リスクが20%ずつ減少していくというとんでもないデータもあるのです。女性リーダーの資質をきちんと理解すれば、大抜擢という手段も取れるはずなのです。

石田:男性と女性では、経営の意思決定の仕方が違うということですね。

DaiGo:男性経営者は、会社の利益を最大化するためのプロセスを重視するタイプが多い。一方女性経営者は会社の利益よりもまず顧客の利益を優先する傾向が強いということもわかっています。つまり、どんな商品をつくったらヒットするかを考えるのが男性経営者で、どんな商品を人々は欲しがり、どういうふうに使うのか、顧客の視点でアイデアをひねり出すのが女性経営者の特徴だと言ってもいいでしょう。

会社の利益よりも顧客満足度を優先して行動するのは、簡単なことではありません。会社にとってはデメリットになるリスクを孕んでいると思われがちです。でも、本当はその発想には、まったくリスクはありません。品質が良くお手頃価格の製品、サービスは顧客の満足度を上げ、口コミで社会にどんどん広がっていく。実は世の中の大ヒット商品の多くは、女性リーダーのアイデアから生まれているのです。

アメリカのS&P500の指数を見ると、女性経営者の意思決定のスピードは速く、さらに質も高いというデータも出ています。

石田:私たち男性経営者は、女性から様々なことを学べるわけですね。DaiGoさんがおっしゃるように、3000人の女性メンバーにJCをどういう組織にしたいのか、調査する必要があります。

DaiGo:私は、そう思います。

Text by Hiroshi Shinohara|Photographs by Masahiro Miki