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世界をつなげるノーサイドの精神「ラグビーワールドカップ2019」を応援しよう!

2019/09/16 15:00

「ラグビーワールドカップ2019」がまもなく日本で開幕する。どんな苦境に陥っても決して最後まで諦めないメンタリティが備わったことで、日本代表は一躍台風の目となった。リーチ マイケル主将と日本JCの勝木征史副会頭との対談では、ラグビーが心身にもたらす効果にまで話が及んだ。

勝負の極北にあるもの

勝木征史(以下、勝木):ラグビーワールドカップが目前に迫っています。私たち日本青年会議所も自国開催での代表チームの活躍をとても楽しみにしています。最初に、今大会に挑む日本代表チームの特徴について教えていただけますか。

リーチ マイケル(以下、リーチ):はじめてラグビーをご覧になる方は、日本代表が他の国のチームと比べて体格面でかなり見劣りすると感じられるでしょう。小さな選手たちが大きな選手に挑んでいく勇敢な姿をぜひ見てほしいですね。その小さなチームがスピードやテクニックを武器にフィジカルに勝る強豪国とも互角に戦えることを証明したいと思っています。

コアなファンの方には、戦術を楽しんでほしい。このチームには柔軟性も展開力も備わっています。パスワークやキックを使った多彩な攻撃に注目してほしいですね。

勝木:2015年大会に続いて、今大会でもリーチさんは日本代表のキャプテンに指名されました。個性的な選手たちをどのような方法でまとめ上げているのでしょうか。

リーチ:14年、エディー・ジョーンズヘッドコーチからキャプテンに任命されたときは、少し迷いがありました。断ることも考えていたのです。廣瀬俊朗さん、畠山健介さん、堀江翔太さんに相談したところ、みんなから「引き受けてくれ」と言われ、ようやく腹が据わりました。

代表チームの場合、まずチームの文化を守ることが大事になります。ニュージーランド代表やイングランド代表など、エリートチームには独特の哲学があります。こうしたチームアイデンティティは、国と国との戦いにおいてとても重要な要素です。日本代表にも侍の精神文化があります。

自分たちがどういうチームなのか、己のことを知らずして相手と戦うことはできません。チームアイデンティティを磨いていくことがチーム強化につながります。

勝木:ビジネス同様、組織にはビジョンが大切なのですね。チームを牽引していくうえで、どのようなことに留意されましたか。

リーチ:ヘッドコーチ、トレーナー、スタッフ、選手間で意思の疎通がうまくいかないときがあります。こうした状況で試合に臨んでもいい結果は出ません。ヘッドコーチの戦術をチーム全体に浸透させることがキャプテンの役割です。選手全員が納得した状態で試合に臨めば、連携もスムーズになり、本来の力を発揮できます。

もうひとつは、相手のチームを研究することも大切です。ラグビーの試合では、コーチはグラウンドには立ちません。試合前にどれだけ準備ができているかがカギとなります。相手を分析し、ゲームプランをしっかりと立て、それを確実に実行するためにグラウンドでキャプテンが指揮を執ります。


勝木:国と国との戦いでは、愛国心の強さも決め手になるとお聞きしたことがあります。

リーチ:先ほどのチームアイデンティティの話とも重なりますが、15年あたりから、精神性を高める努力も常に行っています。チームで俳句を勉強したり、相撲を見たり。力士が手刀を切るのは、3つの神様に祈りを込めるという意味があるそうですね。また、戦国時代の武士の誇り高き心も学びました。

ラグビーの試合には攻守の流れがあります。不利な状況が続くと、肉体的にも精神的にも疲弊します。ワールドカップに出場する国はどこも強敵です。グラウンドに立つ前に、日の丸を背負って戦うという覚悟があれば、ピンチのときこそ力が湧いてくるものなのです。

勝木:前回のワールドカップでは、世界ランキング4位で優勝候補の一角、南アフリカ代表を撃破しました。世界が驚き、この試合は世紀のアップセットと言われています。その後、次々と強豪国を破り、日本のファンを感動させてくれました。当時の日本人の多くは、代表チームの活躍にさほど期待していなかった。なぜ、急激に日本代表は強くなったのですか。

リーチ:日本代表はもともと弱いチームではありません。なぜ、国民が日本代表に期待しなかったかというと、そもそも選手たちに自信がなかったからなのです。自分たちよりも手足が長く、体格に勝る外国チームには到底、歯が立たないというムードが漂っていました。それが応援する側にも伝わってしまったのでしょう。

日本人には勇気も、創造力も、体力も、結束力も備わっている。どこの国よりも必死に練習します。

本来、ラグビーに向いているはずなのに、自分たちの強みに気付いていなかっただけなのです。自分たちの長所を活かせば、強豪とも互角に戦えるということを気付かせてくれのが、エディーコーチでした。15年、新チームになってから、日本代表はさらに強くなっています。技術、スピードに磨きがかかり、忍耐力はどこの国にも負けません。今や世界とも互角に戦える力がつきました。

Text by Hiroshi Shinohara|Photographs by Masahiro Miki