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クワガタの異能ベーター青木喜大のパラワン島冒険記!!

2019/09/18 15:00

2019年、日本青年会議所では1つの分野で突出した能力をもち、社会を革新しうる人材を『異能ベーター』と名付け、異能をもつ青少年の発掘プロジェクトを開催致しました。そして3名の青少年を異能ベーターに認定しました。今回はその3人の中で『クワガタの異能ベーター 青木喜大(あおき よしひろ)君』の活動を紹介致します。


青木君は茨城県在住、常総学院高等学校に通う高校1年生です。青木君のもつ異能とはズバリ「クワガタ」そう、彼はクワガタを愛する異能ベーターなのです。小さい頃からクワガタの採集に夢中になり、自宅のガレージを改造した「クワガタルーム」で沢山のクワガタの育成や研究を行っています。クワガタを愛するようになったきっかけは小学校の時に父親の知人から珍しいクワガタを貰ったこと。その時からクワガタの魅力に取りつかれ、新種のクワガタを発見し自分の名前を付けることを夢に日々クワガタの採集や研究に励んでいます。そして今年の夏休み、青木君は新種のクワガタを探しにフィリピンのパラワン島という島を訪問しました。今回はパラワン島での青木君の活動をお届けします!! 

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成田空港からフィリピンの首都マニラへフライトし、飛行機を乗り換えパラワン島に到着しました。ここまでおよそ20時間の旅。パラワン島はフィリピン南西部に浮かぶ島で「フィリピン最後のフロンティア」とも呼ばれる秘境です。美しい海など自然が多く、リゾート地としても有名ですが、人の手が入っていないジャングルなど昔からの生態系が残っている場所も多く、新種の生物採集には絶好の場所とのことです。しかも、今回は青木君の活動がフィリピン政府にも認められ、通常外国人は入れない保護区の原生林に入る許可が出たとの事。新種のクワガタ発見への期待も高まります。

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到着後、空港から車で5時間ほどかけ、保護区の麓の村へ向かいます。パラワン島は都市部など開発された場所もありますが、ほとんどの場所が伐採された山と保護区の山岳地帯であり、今回彼が滞在するのも電気もガスもない山奥の村です。衛生環境も悪く、マラリアなどの伝染病にかかる可能性もあり、非常に危険な場所でもあります。

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ジャングルでクワガタを採集するにあたって、まず近くにある現地民の住む村へ訪れました。今回の旅の大きな目的はクワガタ採集ですが、もう一つの目的として現地民に支援の物資を渡すことがあります。

パラワン島の現地民(昔から島に住む民族)は、山奥に住み今現在でも満足な教育を受けていません。農業を生業としていますが焼き畑農業など昔ながらの農法のため、生産性も上がらず所得も低いままです。

いまだに上半身裸で過ごす人も多く、街へ買い物に出ることもままならないとのことです(街に出るにはTシャツなどの上着が必要ですが、それすら購入することもできない人も多いため)

また、昔ながらの暮らしをする現地民への差別も存在し、現地民と都市部の人間の対立も問題となっております。

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青木君は今回のパラワン島訪問の直前に、日本青年会議所の事業である『JCIJAPAN少年少女国連大使育成事業』に参加しました。国連でSDGsを学んだ青木君は、SDGs推進のために自分でも何かできることはないかと考え、現地民の人達にTシャツや蚊取り線香、ノート、鉛筆、などの支援物資をプレゼントすることにしました。

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しかし、村についてプレゼントを持ってきたことを伝えても、現地民の方々の反応があまりよろしくありません。喜ぶどころか、警戒心を剥き出しにし、なかなかプレゼントを受け取ってくれません。現地民の中には都市部の人間や外国人に警戒心を抱く人も多く、なかなか心を開いてくれないことが多いとの事。プレゼントを渡しても、騙されるのではないか?あとでお金を請求されたりするのではないか?と警戒していたようです。しかし、なんとか時間をかけてコミュニケーションを取り、やっとプレゼントを受け取ってくれました。特に子供達は鉛筆、ノートなどのプレゼントを喜んでくれたようです(集合写真を撮りましたが、大人は隠れてしまい写真に入ってくれませんでした)



そして、いよいよジャングルにクワガタ採集に向かいます。パラワン島のジャングルは現地のガイドも入るのをためらうような危険な場所ですが、今回は現地民の方も採集に協力してくれることになりました。パラワン島にはパラワンオオヒラタと呼ばれる大きいものだと体長10cmを超えるような巨大なクワガタが生息しています。今回狙うのはパラワンオオヒラタと、そして誰も発見していない新種のクワガタです。


ジャングルを探索し、罠を仕掛けるなど3日間の採集を行いました。

すると、日本で見たことのないようなクワガタやカブト虫が大量にいます!!



日本ではクワガタやカブト虫が採れるような森は少なくなっていますが、パラワン島は昆虫のパラダイスといった様相です。途中、蛭や蚊などに苦しめられながらもなんとか採集を続けました(蚊はマラリアの媒介となり現地では非常に危険な虫とされます)断崖絶壁の切り立った壁もありましたが、現地民の方の協力でなんとか登り切り、未開のジャングルを進み続けました。



そして、ジャングルの奥地で見事パラワンオオヒラタを発見!!最大11cmにもなる巨大なクワガタです。それ以外にも10種類以上の珍しいクワガタやカブト虫をゲットしました。

さらに新種のクワガタを発見すべく奥地へと進みましたが、これ以上進むのは危険ということで今回はこれで断念。今回のフィリピン滞在は10日間ですが、うち3日間はクワガタの輸出などの手続をする期間です。首都マニラでの手続きに向かうため、パラワン島を後にしました。

今回青木君が採集したのは、パラワンヒラタクワガタ、タウルスヒラタクワガタ、アラガールホソアカクワガタ、スズムラホソアカクワガタ、インターメディアツヤクワガタ、エレガントゥルスコクワガタ、モーニッケノコギリクワガタ、イソガイノコギリクワガタ、オキピタリスノコギリクワガタ、カプレオレスサビクワガタ、アーナウドネブトクワガタ、インプレッシコリスネブトクワガタ、ロドリゲスカブトハナムグリ、オオヒラタカナブン、アトラスオオカブト、です。素人が聞いてもその凄さはよくわからないですね...ともかく大きな成果があったことはおわかりいただけるのではないかと思います。残念ながら新種のクワガタは発見できませんでしたが、パラワン島には太古の生態が残っており、未発見の昆虫を発見することもあながち夢ではありません。青木君は高校1年生ということで体力的な問題や、危険性から採集活動に限界ありましたが、将来きっと新種のクワガタ発見の夢を実現してくれることでしょう!!



今回は異能ベーターの中で青木君の活動を取り上げました。異能ベーターとは異能をもち社会に革新をもたらす人材の事ですが、クワガタで社会に革新?と疑問をもった方もいらっしゃるでしょう。しかし、クワガタなど昆虫の研究は地球の生物多様性維持に必要不可欠なものですし、昆虫の生態は感染症などの医療との関連や、将来予測される食料不足の問題との関連性もあります。それ以外にも昆虫の研究は、遺伝子学、進化学、生態学にも利用され大きな成果を上げています。また近年は、昆虫を資源として捉え、昆虫に関わる新たな産業を興していこうとする昆虫産業も興りつつあり、生物のデザインや生態機能をモデルとして模倣し、工業技術や医療技術の革新を図ろうとするバイオミメティクスという考えにも昆虫の生態が応用されています。また青木君はクワガタの採集を通して貧困地帯の現状を知り、それに対しての支援活動も続けていきたいとの事。どんな能力でも社会の役に立たない能力はありません。青木君が今後もクワガタなど昆虫の採集に打ち込み、新種を発見することはもちろん社会に役立つような活動を続けてくれることを期待しています!!

 

山川 誠人