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富山市SDGs未来都市計画~コンパクトシティ戦略による持続可能な付加価値創造都市の実現~

2019/08/24 14:00

2019年10月、日本JCが主催する第68回全国大会富山大会。その開催地である富山市は、2018年に「SDGs未来都市」に選定されるとともに、併せてSDGs未来都市の中でも先導的な取組であって多様なステークホルダーとの連携を通じて、地域における自律的好循環が見込めるものとして「自治体SDGsモデル事業」にも選定されている都市である。

富山市は富山県の中央部に位置しており、富山県では一番人口が多い(約42万人)都市。医薬品や機械、電子部品などを中心としたものづくり産業が盛んな日本海側有数の中核都市として今日まで発展してきた。また市域は国内最大級の広さを有し、水深1000mの「海の幸の宝庫」富山湾から、3000m級の北アルプス立山連峰まで自然豊かな多様な地勢を誇り、広大な森林面積や全国有数の水力資源、地熱資源に恵まれ再生エネルギーのポテンシャルが高いことも特徴である。
その一方で、地方都市特有の車社会であることや、人口減少や少子高齢化が進行していることを受け、富山市としてコンパクトシティを目指す政策を進める中で更なる進化に向けて、環境・エネルギー、健康・福祉、産業振興、多様なステークホルダーとの連携などの分野における取組をSDGsの各種目標に関連付けることで、時代の変化や社会の要請などに的確に対応しながら「持続可能な付加価値創造都市」を目指している。

富山市は、2030年のあるべき姿として「目指す将来像」と「3つの価値」を設定している。
「目指す将来像」
・コンパクトシティ戦略による持続可能な付加価値創造都市の実現

「3つの価値」
(1)経済価値
市内企業の活性化や新技術の活用等により、持続可能な付加価値を創造し続けるまちが実現している。
(2)社会価値
健康・医療、子育て、教育環境の充実等により、一人ひとりが個性を発揮し、活力あるまちが実現している。
(3)環境価値
低炭素・エネルギーの有効利用等により、雄大な自然と調和し、誰もが暮らしたいまちが実現している。

富山市がコンパクトなまちづくりの検討を開始したのは遡ること2003年頃。当時は全国の県庁所在都市の中で最も人口密度が低く、全国2位の自動車依存都市でもあった富山市だが、公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりにより、市内にLRTをはじめとする公共交通機関の整備や、中心市街地の再開発事業などの施策を展開することで高齢者等の外出機会の創出を作り出している。また本年度末には、富山駅において路面電車が南北接続されることにより、今後もさらに市民のライフスタイルが大きく変わっていくだろう。

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  富山ライトレール(ポートラム)


  市内電車環状線(セントラム)


働きがいや健康寿命を伸ばす取組として、健康・福祉の推進、子育て環境の充実等を通じて、地域が一体となり、健康・子育て・教育に取り組める「ヘルシー&交流シティ」の形成を図り、市民にとって質の高いライフスタイルとワークスタイルが享受できる都市の実現を目指し、地域包括ケアの拠点施設である「まちなか総合ケアセンター」を設置し、公共施設との相乗効果が期待できる民間の健康福祉関連施設との官民連携の取組により、市民が気軽にまちなかで健康・医療・福祉・子育て・教育に関するサービスを総合的に享受できる環境づくりに取り組んでいる。また、農業の分野についても富山市と民間事業者が協働し「えごま」の6次産業化を行っている。生産体制を確立するため耕作放棄地を再整備した大規模な圃場にて、ICTを活用したトラクターやドローンによるスマート農業・AIを活用した取り組みを実験的に行っている。これから高齢者に対して、農業をしていて楽しい、農業をして暮らしていきたい、と思えるような仕組みをどう作るのかが大きなテーマになっている。


  えごま露地栽培


  えごまの植物工場


人口減少・超高齢化が進む中で、コンパクトシティの取組をまちづくりの基本的な柱に掲げる富山市だが、単に中心市街地の「一極集中」を目指すのではなく、広大な面積を有し、低密度な富山市の都市構造を踏まえ、郊外部においても地域生活拠点を重視する「多極型」のコンパクトシティを目指している点が重要である、と富山市環境部環境政策課の東福さんは語る。「中心市街地だけではなく、郊外部にも地域の生活拠点がいくつもあり、各地域生活拠点(団子)間を公共交通機関(串)でつなぐ本市のまちづくり手法は、「コンパクト・プラス・ネットワーク」を推進する他の自治体のロールモデルになっています。本市は、従来からクルマ社会であり、100m先のコンビニでも車で移動するのが一般的という市民意識が強い土地柄ですが、LRTネットワークの形成や、様々な公共交通活性化の取組、さらには「クルマと公共交通」をバランスよく利用していく「モビリティ・マネジメント」を推進してきたことで、市民の意識は確実に変わってきていると感じています。これからも、これらの施策をぶれずに進め、市民のQOLを高め、ライフスタイルの転換を図っていくことが、SDGs未来都市として求められていると思います。」

富山市は、2019年7月1日に北陸電力と「SDGsの推進に関する包括連携協定」を締結した。この協定では、「環境に優しいエネルギーの利活用」、「持続可能な交通」、「安全・安心で住みやすいまちづくり」など6項目を柱に連携することを盛り込んでいる。今後も、地域課題の解決に向けて、SDGsのゴール17「パートナーシップ」を強化し、ステークホルダーとの連携を図りながら、持続可能な付加価値創造都市の実現を目指していくことになる。

 東福さんは「富山市は、中心市街地だけでなく、郊外・山間地域も有しており、都心部と郊外部が混在しているという意味で、日本の都市の「縮図」であるといえます。「地域循環共生圏」の視点に立てば、都心部と郊外部において、再生可能エネルギーなどの地域資源の循環利用を図り、適切なマネジメントを行いながらエネルギー効率性の高いまちにしていくことは、今後、益々重要になっていくでしょう。また、少子・高齢化により、郊外部では、農業従事者の大幅な減少や、耕作放棄地の増大、産業活力の減退といった課題を併発させている中で、いかにして地域が活性化して地方創生を実現していくかが問われています。本市の取組を国内外へ発信・展開するとともに、様々な自治体や関係者との連携を加速化させていけば、SDGsの推進にとっても大きなインパクトになるはずです。」と語る。



今後も富山市の数多くの取り組みに注目したい。

公益社団法人日本青年会議所 第68回全国大会富山大会
2019年10月10日(木)~13日(日)

全国大会富山大会公式HPはこちらから
https://www.jaycee.or.jp/zenkoku/

Text by 小山大輔