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地方空間は新たな時代の価値観を問い直す実験場になる

2019/08/22 14:00

Society 5.0はSDGsとアライアンスしなければならない

安宅和人(以下、安宅):Society 5.0の世の中では、IoTやデータサイエンスによって多様な情報や知識がつながり、経済の仕組みも変わる。けれど、目指しているのはヒト中心の社会であり、実は様々なビジネスのチャンスが生まれます。経団連の未来社会協創会議で公表したSociety 5.0の提言書の中に、僕は、「妄想力×テクノロジー」で新しい価値を生み出しましょうという提言を入れました。

人+AI Readyの多様性をうまく使うことで、価値創造社会は実現できるという考えです。しかし、深く考えずに「妄想力×テクノロジー」で世の中をアップデートし続けても、環境破壊や超高齢化といった問題は解決できません。そうならないようにSDGs的課題にもアプローチしつつ、世の中をサステナブルにしていかなければならないのです。

鎌田長明
(以下、鎌田):これまで日本は経済を強くして社会を良くしていこうというロジックで動いてきました。そろそろ逆の考え方をしたほうがいいのではないでしょうか。多様な働き方を認める会社にあらゆる世代の人が集まる優れたシステムをつくれば、地方経済も伸びるのではないかと。

安宅:その通りですね。日本の教育レベルをここまで引き上げたのだって、明治時代に寺子屋しかなかったところに3万校の小学校をつくるという無謀な試みをして、成功したからです。今回はそこまでのチャレンジではない。AI系リテラシーを育むために世界各国から優秀な講師を募ればいいのです。

鎌田:その社会では、女性やシニア層も活躍できそうですね。

安宅:人間が誇りをもって生きるためには社会に必要とされることが絶対に必要。仕事が生きがいであるなら、一生働く選択肢があっていい。雇用において、性別や年齢で差別することは禁止すべきです。

鎌田
:シニアの方は体力的な問題もあるので、いかにテクノロジーでカバーしていくかといったことも考えるべきですね。

安宅:そうですね。そもそも、一年中同じ仕事をし続ける必要はないのです。ひとりでたくさんの種類の仕事をして、年に1、2カ月だけ土木の仕事をするといった働き方のほうがいいケースもある。土木もやる、田も耕す、子供の面倒もみる、休みもきちんととる。そのほかにも兼業どころではないレインボーワークスとでもいえるような働き方、それがこれからの未来だと思うのです。

鎌田:「知的財産戦略ビジョン」の中でも「百姓(ひゃくせい)」という概念がありますね。「人がテクノロジーによって強化されることで、ひとりの人間においても役割の多量化が起き、多様な仕事をもつものが増える」と予想しています。

Photograph by Shuji Goto