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村上芽さんが語る「少子化する世界」

2019/07/24 15:00

日本では出生率が低く留まっており、少子高齢化が著しい。しかし、少子化の問題は日本だけの問題ではない。少子化のお手本として挙げられることの多いフランスでもすべてがうまくいっているわけではないようだ。
村上芽さんが今年4月に上梓した「少子化する世界」(日本経済新聞出版社)は、日本に先駆けて少子化に取り組んできた欧州各国の最新情報をもとに、日本がとるべき施策について論じている。
村上芽さんに直接話を伺ってきた。


勝木征史(以下,勝木):
日本の合計特殊出生率があがらない理由について村上さんのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

村上芽(以下,村上):
少子化は先進国共通の課題で、日本だけが特殊なわけではなく、晩婚化・晩産化はどこの国でもあります。スウェーデンなど北欧と大きな違いは、20代で産まなかった女性が30代でも産まなくなっていることです。スウェーデンでは20代後半で結婚し30代で2人産むということが浸透している反面、日本では30代でも出産していない。女性が30代になっても産まない産めないから、子どもの数が減っているという現状が一般にはよく知られていないのが現状です。
まずは人口構造や数字に対してきちんと理解するところからはじめなければならないですね。



勝木
私たちが青年会議所メンバーに向けて実施したアンケートによると、子どもが欲しい数について91%の回答者が複数名欲しいと回答しました。現実は2名以上欲しいという結果でしたが、希望はしているのに産めていないという現状についてどうお考えでしょうか。

村上
回答者には経営者の方が多いと思いますが、育休など制度を入れたり、取得されたりしているのか、早めに家族を持たれているのか、どのようなプロフィールの方が多いのか是非知りたいですね。
全体の9割が家庭を持たれていることから、結婚されている方で子どもを望まれている方が多いというのは素晴らしい。ただ、実際には対象者の中のお子様の人数は平均1.5人くらいにとどまっているわけですね。ということはどこかにボトルネックが存在しているのです。それが分かれば実感のこもった発信になるのではないでしょうか。政府は啓発を目的としておらず、データ収集にとどまっている。青年会議所のメンバーの子供の平均数が1.39であることの意味するところを発信できれば、身近に考えて頂く機会になると思います。

勝木
ライフプランや時間を調整しやすい経営者が多いですが、青年会議所の目標とする出生率2.8に達していないのは経済的な要因だけなのではないかもしれませんね。

村上
男性の育休の取得率が低い点が大きな問題の1つだと思っています。育休を取れる会社であることを若い方にPRしていくことで関心を持たれることも多い。共働きでなくても経営者からサポートの制度を採り入れると良いかもしれませんね。

勝木
確かに産みやすく育てやすい制度やサポートがあれば良いですね。
フランスでの実例からみると国民には金銭的なサポートも確かに必要だと思います。例えば子どもを3人以上生んでいる家庭に対して税制の優遇や補償があれば良いのでしょうか。

村上
金額の多寡もさることながら、日本は3歳までは厚遇だがサポートは年々減っていくことが多いです。海外ではその逆で子供の年齢が大きくなるにつれサポートが加算されていくケースがありますね。
小学校以降、日本は放課後の過ごし方でかなり差がついています。義務教育以外の塾や習い事などといった教育も含め、どこの負担を減らすのか。だんだん負担感を減らしていくことが必要かもしれません。実際は10歳以降の経済負担が大きいと考えられています。親の実感としてサポートされているという制度が必要かもしれません。学校教育以外の教育費用の負担、地域、教育格差を埋められれば良いと思います。
また日本では教育は私的投資という観念がつよく、子育ては社会全体で行うものだという認識を根つかせる必要がありますね。

勝木
確かに日本でも補償制度はたくさんありますが、国民の認知も低いかもしれません。

村上
国民的議論がまだまだ少ないのだと思います。一人一人が国の制度や仕組みなりを自分のことと考えられているのか。民主主義的な部分が希薄なのかもしれません。
政府も分かりやすい発信が必要ですし、受け手の国民も損得勘定ではなく、本当にどうしたいかという議論に加わらなければならないでしょう。公開討論会の模様もお伺いしたいですね。

Text by 小倉康宏