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Airbnbが語る民泊プラットホームの未来

2019/07/23 15:00

7月20日(土)サマーコンファレンスにて価値デザインサミット~SDGs×ビジネス~のパネリストとして参加予定のAirbnb Japan株式会社 代表取締役 田邉泰之氏に、日本青年会議所にて推進している「価値デザイン社会」についてお話を伺った。

 

Airbnbの略歴とサービスを教えてください。

 

[田邉氏]

Airbnbは2008年、今から11年前に現在の共同創業者であるアメリカの3人の若者によって生み出されました。そのきっかけは、家賃の支払いに困ったところから始まります。家賃の支払いに困っていた若者たちは、近隣で開催されるデザインの国際会議によって近所のホテルは満室状態なことを知り、それならばと、自宅にエアマットをひいて貸し出してみたところ、すぐに予約が入りました。せっかくだからと宿泊客に町を案内してまわったら、それも非常に喜んでもらえた。この時の体験がそのままAirbnbのサービスには活かされています。Airbnbは宿泊する場所を確保するためのプラットフォームにとどまらず、旅における体験や出会いを作り出すためのプラットフォームなんです。多くの方にAirbnbは「民泊」のためのオンラインサービスだと認識されていますが、実際にはただのOTA(online travel agency=オンライン旅行代理店)ではないのです。そのことを表しているのが「体験」というサービスです。Airbnbのサービスは、大きく「宿泊」と「体験」(日本国内では2つだが、アメリカではレストランの予約もできる)ですが、「体験」は個人が情熱を傾けていることを旅行者に報酬をいただいて体験してもらうサービスです。つまり、多くの個人が「おもてなしのプロ」になるためのサービスであり、自身の情熱に従ってマイクロ・アントレプレナー(小さな起業者)になることをサポートしています。

 

Airbnbはなぜたった11年で世界的なプラットフォームに成長されたのでしょうか。

 

[田邉氏]

創業当時は全く順調ではなかったそうです。それこそ、全く資金が無かったためオバマ大統領の選挙期間中にキャンペーンとして既製品のシリアルを、オリジナルで作った箱に詰めかえて販売して、30,000ドルを稼いで資金に充てるような状態でした。そんな状態から抜け出すことができたのは、ユーザーの口コミのおかげです。一人ひとりのユーザーにアドバイスを直接いただきにあがったり、宿泊施設の写真を取り直しに行ったりした中で、Airbnbのサービスに対してユーザーが共感してくれたんだと思います。ビジネスモデルがシンプルであったことも共感を得やすかったのかもしれません。また、創業者たちは全く小さな会社のころから色々な方にアドバイスをいただきに伺ったそうで、それこそジェフベゾス氏やビルゲイツ氏にもアドバイスをもらいに行っていたようです。その時にいただいたアイデアの一つが「安心安全」です。小さな規模のころから「安心安全」に対してしっかり投資してきたことが、今のような成長に繋がったと考えています。

 

新しい価値を生み出すためには、新しいルールも必要だと思いますが、民泊新法の改正時のことも含めてご意見をいただけますでしょうか。

 

[田邉氏]

日本において民泊はグレーな状態でした。Airbnbでは安心安全であることを非常に重視しており、ルールを守ることが最も大切であると考えています。そういった意味でも民泊新法が出来たことは、我々にとって喜ばしいことです。確かに新しい価値を生み出した場合、それは法では想定していなかったものになるかもしれません。その際に新しいルール作り、つまり法の改正を提言することは非常に有益なことであると思います。JCの皆さんはビジネスマンであると同時に、政治にも低減できる立場でありますので、ビジネスで新しい価値を生み出すこととともに、新しいルールの低減も積極的に行っていただきたいと思います。

 

私たちの一年の活動から見出した価値デザインのロジック「社会課題に対して様々なパートナーを組んで共に解決する。それが新たな価値を創造する。」に対して意見をいただけますでしょうか。

 

[田邉氏]

価値デザインという言葉は存じませんでしたが、Airbnbが取り組んでいることもまさに「価値デザインのロジック」に当てはまります。

現在、私どもAirbnb Japanとしては、100社ほどの企業とパートナーシップを築いており、そのパートナーの業種や規模は多種多様です。一見Airbnbとは関係の無さそうな企業様も多く、例としては、損害保険会社とのパートナーシップが面白いかもしれません。Airbnbには、民泊をされる方に安心安全を提供するサービスとして、20分で駆け付ける24時間対応のコールセンターがありますが、こちらは損害保険会社のコールセンター内にAirbnb専用の受付を置くことで実現しています。つまり、民泊における安心安全という課題を、損害保険会社とパートナーを組むことで解決していると言えます。このようなパートナーシップを100社ほどの企業と結んでおり、1社で提供できるサービスとは全く違った価値を提供することが出来ていると思います。


写真右:Airbnb Japan株式会社 代表取締役 田邉泰之 氏
写真左:公益社団法人日本青年会議所価値デザイン会議 議長 菅野譲 君

Text by 菅野譲