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身近なところから考えるジェンダー平等への確かな道

2019/07/15 14:00


アジアの村の素敵な子供たち

:「Because I am a Girl」の活動で、アジアの開発途上国を訪れてたくさんお話を伺い、女の子たちが日常的にひどい差別を受け、臓器売買や少女売春を強要されているという現実を間近で感じました。改めてすごくショックを受けたのと同時に、いまの私には何もできることはないと思うと悲しくもなりました。

でも、現地へ行って村の人たちと話をすると、ネガティブなことばかりではないことも知りました。幸せそうな夫婦や、楽しそうに遊んでいる子供たちと話すと、みんなより良い未来に希望を持っている。だから、ネガティビティをアピールすることがその国の人のためになるとは到底思えなかった。私は東京という便利な都市で生まれ育ち、不自由のない生活をしてきましたが、こうした村で暮らすことのほうがずっと心が豊かなんじゃないかなと感じることもありました。すべてをキラキラした世界で覆い隠したいわけではなく、私が感じた村の人たちの強さ、優しさ、温かさ、そういうものをピックアップして発信したいと思ったのです。ネガティビティに傾いて、その国の人たちとの関係が壊れてしまうことが怖かったのです。

鎌田:素晴らしい考え方ですし、大切な心がけだと思います。先進国の人が開発途上国に行ったとき、いちばん相手を傷つけるのは、その国の人々は不幸だと決めつけることだからです。

:シャボン玉を吹くと、日本の子供たちと同じように、うれしそうに泡を追いかけるんです。こんな些細なことで、子供たちは心を開いてくれる。フィリピンのある村を訪れたとき、6歳から15歳くらいの女の子たちとたくさんのことを話しました。別れの前、みんなに、「自分の夢を書いてみない?」と提案したのです。私が彼女たちと同じ年齢だったら、パン屋さんになりたいとか、自分のことを書いたと思いますが、彼女たちが書いた夢は、自分のことではなく、この村が、こんなふうに変わっていてほしい、という願いだったのです。

鎌田:今生きている日本人で、本当に飢えた経験をした人はほとんどいませんよね。貧困や飢餓に苦しむ国の子供たちは、誰かの助けがないと生きていくことができないということがわかっている。だから、社会的意識が芽生えてくる。村がよくなれば、自分の生活が変わるということがわかっているのです。森さんの気付きは素晴らしく、私たち日本人も開発途上国の女の子たちのように、自分はどうあるべきか、社会はどうなるべきか、そういう考え方のできる人間をたくさん育てていかなければなりません。

:視野を広くもたなければいけませんね。みんなが手と手を取り合って生きていく時代なのですから。

鎌田:SDGsのゴールの17番は、パートナーシップです。国連は、15年間、MDGsを推進し、その結果、極度の貧困は半減しました。改善された国と、改善できなかった国とでは何が違ったかというと、パートナーシップを大切にしたかどうかだったのです。本来、パートナーシップというのは、ゴールではなく、手段ですよね。それを国連があえてSDGsのゴール17番に入れたのには相応の理由があったのです。人種や民族の違いを乗り越え、世界がひとつになることで、あらゆる課題は解決されていくのです。

SDGsのゴールは相関関係にあります。ジェンダー平等も、残りの16個のゴールすべてに関係しています。女性がきちんと教育を受けられる環境を整えれば、貧困や飢餓の問題を解決する糸口になるでしょう。女性が自立すれば食文化が発展し、病気の予防にもなります。環境問題に取り組むには、子供を産み育てる女性の提言が必要です。ジェンダー平等を考えるとき、森さんのように人とのコミュニケーションを大切にし、身近なところからパートナーシップと結び付ける発想が求められます。

日本はこれから人口減少が進みます。自分たちだけで成長していくのは不可能です。他の国の助けが必ず必要になります。そのとき、ジェンダー平等の実現が遅れていると、世界はどのような目で日本を見るでしょうか。この国をもっとよくしていくために、私たちは、「HeForShe」運動を広めていきたいと考えています。

:SDGsを学んだことで、私自身のマインドもずいぶん変わったと思っています。実は、今年の初めから友人と一緒に畑で野菜づくりをスタートしました。いずれそこで収穫された野菜を使って、カフェをやりたいと思っているのです。農具を入れるリュックは、50年代のチェコで使われていたテントを再利用しました。先日は福井県のメガネ工場に行き、メガネの廃材を利用してかわいい箸置きもつくりました。生産性にこだわるのではなく、まだまだ使えるのに捨てられてしまうモノを使ったサービスを提供したいのです。そのカフェで「SDGs」の様々なゴールを実現できたらいいですね。世界中から問題意識をもった人たちが集まって、お互いを知るきっかけになったり。是非JCさんにも協力してもらいたいです(笑)。

鎌田:JCのネットワークが活かされそうですね(笑)。是非、一緒にやりましょう!

Text by Shinohara Hiroshi | Photographs by Miki Masahiro | Hair by GOTO JUN | Make-up by Washizu Yuka