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身近なところから考えるジェンダー平等への確かな道

2019/07/15 14:00


男女の対話から身近な問題を探り出す

鎌田:SDGsのゴール5は、「ジェンダー平等を実現しよう」です。日本は男女格差の度合いを示す「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」が低く、先進国の中で最も遅れている国と見なされています。日本の青年会議所は、ほぼビジネスリーダーで構成されていますが、会員の9割が男性なのです。女性の起業家、経営者が少ないことが残念でなりません。何が女性の活躍を妨げているのか。そこには社会の壁があると思うのです。その壁は、男女が同じ価値観を共有し、協力しなければ壊せません。

:実は、ファッション業界にいると、ジェンダー差別を感じることはそこまでないのです。男性、女性、LGBTそれぞれの人が自分の個性や強みを活かして活躍しています。政治やビジネスの世界では、みんなを引っ張っていく女性リーダーがなぜ少ないのか、不思議で仕方ありません。もし、様々な分野で女性が活躍し、その人柄にフォーカスが当たれば、「私もこんな女性になりたい」と憧れる女の子たちはもっと増えていくと思います。それが好循環を生み、社会に活気をもたらすのではないでしょうか。一方で、家庭を守り、男性の仕事をサポートすることに生きがいを感じる女性もいます。女性一人ひとりの選択をポジティブに受け止めてもらえる社会になってほしいですね。

鎌田:おっしゃるとおりです。男性のなかにも、仕事は奥さんに任せて、自分は子育てをがんばりたいと考える人がたくさんいます。でも、今の日本社会でそれを堂々と公言できるかといえば、なかなか難しいですよね。女性の役割だと思われていたことを男性がやったって構わないはずです。それとは逆に、女性にも、これは男性の仕事だから自分には無理だと諦めてほしくないのです。これが社会の壁だと思うのです。

世界では、エマ・ワトソンが国連の親善大使を務めている「HeForShe」キャンペーンが非常に盛り上がっています。「HeForShe」には、“彼女”が主語になっているものに対し、その希望がかなうようにみんなで助け合おう、というビジョンがあります。JCは、この「HeForShe」運動を推進していて、全国で署名活動を行っています。男女平等の社会の実現のためにアクションを起こしたいという声が現在まで10万22人集まっています。社会の壁を打ち破るため、私たちは30万人の署名を目指しています。

:男女問わず、みんなが自分の夢に向かって挑戦できる社会はとても素晴らしいですよね。今鎌田さんのお話を聞いて思ったのですが、定期的に男女が集まり、身近な問題についてまじめに話し合う会合を開くだけでも何かが変わるかもしれません。ジェンダー平等を実現するヒントは男女の真剣な対話からも生まれるような気がします。

鎌田:まさにそのとおりで、小さなところから問題を発見していく姿勢はとても大切です。ある技術系の企業の方から聞いた話なのですが、この会社には一昔前、男性従業員しかいなかった。最近、女性をどんどん採用するようになったのですが、そこである問題が生じました。オフィスビルの中に女性用のトイレがひとつもなかったのです。すぐに改善されたのですが、女性を積極的に採用していく方針を立てたとき、こんな小さなことにさえ配慮できなかったと反省していました。男性だけでは気付けない、女性だけでも気付けない、そういうことは世の中にいっぱいあります。森さんがおっしゃったようにジェンダー平等実現の第一歩として、男女が気を使わずに様々な意見を交換する場をつくることはとても重要だと思います。身近なところから問題意識をもたないと、グローバルが抱えるさらに深刻な課題を理解することなどできません。

Text by Shinohara Hiroshi | Photographs by Miki Masahiro | Hair by GOTO JUN | Make-up by Washizu Yuka