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シャッターはなぜ開かないのか -商店街の挑戦-

2019/06/24 15:00

1.全国に広がり続けるシャッター街
 空き地・空き家の増加が全国的に止まらない。国土交通省が今年4月に公表した「平成30年住宅・土地統計調査」によれば、空き家数は846万戸と、前回調査された平成25年と比べ26万戸(3.2%)の増加。空き家率(総住宅数に占める空き家の割合)は、13.6%と0.6ポイント上昇し、いずれも過去最高を更新した。
 このことは、全国の中心市街地の景色にも如実に現れている。かつて人で賑わった商店街がシャッター街となり、まちの魅力を失わせ、新たなシャッター店舗を生んでいく。このような悪循環が、全国の至る所でみられる。

2.商店街関係者の声
 シャッター街の現状を探るべく、いくつかの商店街を訪れた。三重県津市の4つの商店街(大門大通り商店街、丸之内商店街、津新町通り商店街、一身田商店街)、大阪府豊中市の庄内本通り商店街だ。いずれも、近年、シャッター店舗の増加に頭を悩ませている。



 各商店街関係者の声を聞くと、シャッター店舗の増加には、共通の原因がみえてくる。1つは、賃料のミスマッチだ。シャッター店舗で商売をしたい借り手は多くいるのだが、不動産オーナーが設定する賃料が不動産の実際の価値に比べて高過ぎて成約に至らないケースが多い。もう1つは、不動産オーナーの不動産活用に対する意識の問題だ。シャッター店舗のオーナーからは、不動産を貸さなくても生計に困らない、人に貸すのは抵抗がある、といった声が聞こえてくる。



3.有識者の声
 では、不動産オーナーを動かし、シャッター街を再生するためには、どうすれば良いか。有識者に話を聞いた。

 

 嶋田洋平氏・川口展満氏は、全国各地で空き家のリノベーションという手法で、まちの再生を実現させている。両氏は、「数年で回収可能な小規模な事業スキームをつくり、まずは一軒でもオーナーを動かす。エリアで一軒でも成功事例ができれば、他のオーナーもシャッター店舗を活用するようになる。」と言う。両氏の、「空き地・空き家は、その地域の資源であり、ポテンシャルだ。空き地・空き家を有効に活用することで、地域の課題を解決しながら、シャッター街の再生ができる。」という言葉が印象的だ。
 国土交通省都市局まちづくり推進課官民連携室の塚田友美氏は、「従来の行政主導によるエリアの再生には限界がある。都市再生推進法人などの制度を上手く活用しながら、行政と民間が良いパートナーシップを築き、空き地・空き家問題に取り組んでいくことが必要である。」と官民連携の重要性を説く。

4 シャッターを開けるためには
 シャッターを開けるためには、現状の制度自体の抜本的な改革も必要であろう。日本は、国際的にみても、不動産所有者の権利性が極めて強く、不動産を活用しないことに対するデメリットが制度上なきに等しい。不動産のもつ公共性に鑑みれば、これを活用しないことに対する一定のデメリットもあって然るべきである。そのための1つの方策として例えば、地方税法を改正し、遊休不動産に対する固定資産税を、遊休期間の長さに比例して漸増させていく税制改革(「シャッター税」の導入)は一考に価しよう。
 加えて、遊休不動産を再生する民間の力を育てることも重要だ。リノベーションのスキルとマインドをもった人材を育成し、まちづくり会社等のエリアマネジメント団体の設立を促進するための制度融資の創設も望まれる。
 このように、税制改革やエリアマネジメントにより、使われない土地・建物の有効活用を行い、地域の活力を取り戻し、持続可能なまちづくりを進めていきたい。

Text by 倉橋 芳英