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最先端のリスクコミュニケーション〜被災者を誰も取り残さない・逃げ地図事業〜

2019/06/16 04:40

1.年代を問わず地域でつくる「逃げ地図」

『逃げ地図』の正式名称は、「避難地形時間地図」。その名が示すように、避難場所までたどり着く経路を徒歩スピードで3分ごとに色分けする手作りの地図だ。防災地図としてわかりやすさだけではなく、地図をつくる過程そのものに大きな意味がある。『逃げ地図』作りを通して、老若男女が防災について、避難について自然にそして真剣に語り合う場ができる。


「 逃げ地図」は、東日本大震災の経験と教訓を踏まえ、株式会社日建設計のボランティア部が考案し、2013年から明治大学の山本俊哉教授らが、地域防災用にバージョンアップしたもの。道路が色塗りされることで、直感的に危険な場所と逃げる方向を理解する事ができるという。すなわち「逃げ地図」を見ながら、または作りながらより安全な避難や課題を考えたりする事が可能となる。

逃げ地図 

 ≪逃げ地図の特徴≫

・小学生から高齢者の方まで、年代を問わず参加できる。

・自分たちの地域について話し合いながら色鉛筆で色分けをしながら作成する。

・実際の被害があった場合にどう避難するかをより実感することができる。

逃げ地図ワークショップに関する記事はこちらを クリック

2.逃げ地図が伝える「想定は悲観的に、対策は楽観的に」

2019年6月9日(日)金沢市で「逃げ地図in金沢」が開催された。金沢市民60名が参加し、様々な年代で構成された10チームでグループワークを行った。 

逃げ地図2

明治大学の山本俊哉教授はこう語る。

「防災の第一歩は、災害を自分ごととして考える事が大切である。自らの手で描く『逃げ地図』は、いつ、どこに避難すれば安全か、最も近い避難所まで何分かかるかなど、つくりながら自分ごとへと変えることが出来る。また作り手たちは、自分の経験や現場の地域を語りだす。老若男女が避難について、防災について、自然にそして真剣に語り合う場ができ、リスクコミュニケーションとして機能する。」

 また、参加者からは「学生や青年経済人も積極的に参加し、若手防災リーダーの育成が地域の防災意識を高めることに繋がる」「若い人たちと一緒に地図を作る中で、コミュニケーションがとれて楽しかった」などの声が聞かれた。そのなか「地図ではビル名だけでは認識できない、高さが分からないことがあるので、普段から意識してまちを知ることが必要である」といった鋭い意見も発表された。そして「地元を知る大切さ」「共感する事の大切さ」を共に作業する事で実感し、地域が抱える現状の課題や今後の取り組みについて議論が交わされた。

この真剣な議論が出来る「逃げ地図」の作成こそがリスクコミュニケーションの道具となる。

逃げ地図4 

3.「逃げ地図」の必要性と可能性

我々の住む日本列島は、常に災害が起る可能性を秘めており、地震災害だけでなく、ゲリラ豪雨による川や下水の増水等の災害が増えている。自分が普段生活圏とする地域で、災害に見舞われたときに、すぐに逃げられる場所や避難場所までの安全なルートを知るためにも「逃げ地図」を作っておく必要がある。

 

逃げ地図は特定の地域の地図を用いて行うが、参加者が地元を知ることの大切さを体験し、自身の地域に持ち帰り、それぞれの地域で再度取り組むことで、防災意識が高まる効果があるようだ。どこでも誰でも出来る「逃げ地図」事業は、災害が発生した際に誰も取り残さないよう地域のつながりを強くする取り組みだ。

逃げ地図

≪逃げ地図事業に関するお問い合わせ先≫

公益社団法人日本青年会議所 社会グループ

国土強靭化委員会 副委員長 綾垣 一幸

TEL:080-4669-9377

E-mail:ayagaki@outlook.com

Text by 山口知宏