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世界一のサステナビリティシティ マルメに学ぶ!

「世界一のサステナビリティシティ マルメに学ぶ!」

2019/06/14 22:00

日本JCが開催する「JCI JAPAN少年少女国連大使育成事業」は日本全国から集めた青少年に国連などでの研修を通して、SDGsを学んでもらい、帰国後はSDGs推進の啓蒙活動を行う事業である。9年目を迎える本年はスイス、ジュネーブの欧州国連とSDGs先進国のスウェーデンのマルメ市にて研修を行うこととなった。

では、なぜスウェーデンのマルメ市を選定したのか?

スウェーデンはSDGs国際ランキングで3年連続1位を獲得している国として知られているが、その中でもマルメ市を知っている人は少ないであろう。実はマルメ市はフェアトレード(開発途上国の製品を適正な価格で購入し、途上国の生産者、労働者の生活改善と自立を目指すこと)やグリーンエネルギー(二酸化炭素や窒素酸化物といった有害物質の排出が少ないエネルギー)の利用を推進し「持続可能なまちづくり」を積極的に行っている街なのである。

マルメ市はスコーネ地方と呼ばれるスウェーデンに最南端にあり、スウェーデンでは3番目に人口の多い都市(約30万人)であり、古くは造船業などで栄える工業都市として有名であった。しかし、1980年代に景気後退により造船所が閉鎖されるなど工業都市としてのマルメは衰退していくこととなる。市内の失業者は2割を超え、人口も激減し市は財政的に大打撃を受けたのである。その頃から行政はマルメの復興のために工業都市から環境都市へ街の方針をシフトし、人が集まり住みやすい街を作ることを目標とした。

マルメの持続可能なまちづくりに関しては2014年9月にCNNでも取り上げられた。また2007年には、アメリカの環境ニュースを扱うオンラインマガジン「グリスト(Grist)」で、地球上で最もエコフレンドリーな「15の緑の都市」のなかの第4位に選ばれている。

同市は2020年までに「再生可能エネルギー100%の都市」を目指しており、化石エネルギーの利用削減のために、風力発電で走る電車が導入され、また市内を走るバスは100%電力や生ごみを利用したバイオガスを燃料としている。また街は自転車の利用が推奨され、スウェーデン国内で最長となる490kmの自転車専用レーンが整備されるなど、環境や省エネを考えた政策が徹底されている。


フェアトレードに対する取り組みにも熱心で2006年には、スウェーデンでは初のフェアトレード認定都市となり、市内のレストラン、カフェ、ホテルの多くが、フェアトレード製品を提供している。また200を超えるオフィスで、フェアトレードのコーヒーが飲まれており、市内で購入されるフェアトレード・コーヒーの割合は、2006年はわずか0.5%であったが2012年には60%を超えるまでに拡大した。

市内でも特に有名なのが「ベストラハムネン(ウエスタンハーバー)」と呼ばれる地区である。元は造船会社コックムスの大工場があったが、閉鎖後1996 年にマルメ市が土地を購入、2001年より持続可能な都市として開発されてきた。地区の電力は100%再生エネルギーで賄われ、全ての建物は、これらのエネルギーを効率よく変換できるようにデザインされている。また地区の全ての家庭には移動式の生ごみ処理機が支給されており、生ごみは家庭で粉砕され、バイオガスや発電の原料となるようなシステムが確立されている。


マルメ市ではそれ以外にも2020年までに食料に関わる温室効果ガス排出量を2002年比で40%削減する、同じく2020年までに、市ではすべての学校、幼稚園、保健施設で提供される食事がオーガニックで環境に良いものを使用することを目標とするなど、様々な面で持続可能なまちづくりが進められている。その結果マルメ市ではここ数年、年間約5000人ずつ人口が増加しており、前述したベストラハムネン地区には、IT産業やサービス業が進出し、7000人の雇用が生まれた。

マルメ市に住む日本人のオロフソンあかりさんは「マルメはとても住みやすい街です。それも住んでいる人の環境へ対する意識が高いからかもしれません。子供達のことを考え、良い環境を残そうという意識がとても高いと感じます。スウェーデンの国民は全般的に環境に対する意識は高いですが、マルメは市民、行政、企業、全てがその意識が高いと言えます」と言う。

マルメ市の最終的な目標は、「2025年までに、世界の持続可能な街づくりのリーダーとなる」ことである。マルメは世界的には決して有名な街ではないが、持続可能なまちづくりのトップランナーなのである。

Text by 山川 誠人