• HOME
  • 三郷をもっと住みやすく。 「車椅子マラソン」で、バリアフリーの意識を高めよう【前編】

三郷をもっと住みやすく。 「車椅子マラソン」で、バリアフリーの意識を高めよう【前編】

2019/06/14 15:00

「三郷の肢体不自由者のつながりを作りたいんです、そのために車椅子マラソンを三郷市で開催したいので、協力してください。」

埼玉県三郷市のNPO法人care nation代表の笠井直歩氏は熱を持ってこう話してくれた。

NPO法人care nationは、2018年8月1日設立。「自分の街にケアのネットワークをつくり、街の福祉課題をリアルチェンジ(現実を具体的に良く)していく」を理念に活動。具体的には、イベント・セミナー・行政や企業、学校、地域のマッチングなどをおこなっている。今までに、福祉の総合フェス、ユニバーサルファッションショー、大規模パラ・スポーツイベント、三郷市との連携事業を手掛けてき、最近では、埼玉県庁ともコラボレートを始めている。

きっかけは、一人の車椅子ユーザーとの出会いであったと、笠井代表は語った。

彼は車椅子ユーザーで、年に1回その地域で行われる「車椅子マラソン」への参加を目標に、日々のトレーニングや食事などに気をつかいながら活き活きと暮らしていた。

「年に一度でも何か目標があることで、病気であっても活き活きと暮らせる!」とお話をされるその姿に感動し、三郷市でもぜひ開催しようと決心した。

wc


そこから市内の色々な運動場に車椅子を持って行き、1人でこぎながら適切な会場を探し、行政のさまざまなところに説明もした。

しかし残念ながら、『現時点では、そういったイベントをする予定はありません』が行政からの回答だった。

「行政の計画にはない…。じゃあ、民間でやろう!」と思い、日本中で行われている車椅子マラソン大会のことを調査した。三郷に住んでいる車椅子ユーザー数名にも、実際にヒアリングをしてリサーチを行った。

その中で判明したのは、他の地域と比べ、三郷市には肢体不自由者の方のネットワークがほぼ無く、バリアフリー化が進んでいないという事実だった。電車の乗り次ぎが不便だったり、駅のエレベータに車椅子が入れないことも…。商業施設のフードコートで「車椅子がジャマ」と言われることも実際にある。ハード面もソフト面でも、バリアフリー化がもっと必要と感じた。

必要なのは「ただの車椅子マラソン」ではなく、「障がいにフォーカスしたイベント」を開催し、『こういうことで困ってるんだ!』『こうなれば、障がいを持っていても普通に暮らせるんだ!』という声を大声で言えるようなイベント。

なんでそのようなことをしたいと思うのか?

理由はシンプルだった。
「障がいを持ち、困っていて、それを共有したいと思っても、その家族同士で共有できるつながりがない。だから、このまちにそのつながりを作りたいんです。つながりを作るには、お祭りをやるんです。お祭りからつながりを作りたいんです。なんでないんだろうって思ったら、自然と行動してしまったんです。」

そのシンプルで力強い想いは、人を動かし、多くの人々を味方にした。
市の後援、行政の協力、大手企業の協賛、医療や介護に関わる人々、まちの人々、そして、支援を本当に必要としている人々、様々な人たちの後押しがつながり、三郷市初の車椅子マラソン「Misato Fire Bird Zero」の開催が決まった。しかし、運悪く、開催予定日は台風の影響で2018年秋の開催は中止となった。


2019年春、クラウドファンディングでも新たに100万円を超える賛同を集め、三郷市で初めての大規模パラ・スポーツイベント「Misato Fire Bird Zero 2019」を開催する万全の準備が整った。次号では、その当日の様子をお伝えする。
wc

Text by 浅賀和彦