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社会全体で子育てをする「多子社会」の実現に向けて

2019/05/15 15:00

国際政治に関する幅広い知識に加え、子供の教育や働く女性の生き方に対しても深い洞察力をもつ三浦瑠麗氏。「女性の労働力活用と少子化対策こそが日本の最大の成長戦略になる」と主張する三浦氏のもとを、「多子社会」の実現を推進する日本JCの勝木征史副会頭が訪ねた。

勝木征史(以下、勝木):私たち日本JCはSDGsを強力に推進していくことで、社会が抱える課題解決に少しでも貢献したいと考えています。何年もの間、日本は少子化の問題に悩まされ、このまま人口減が進むと、社会保障制度は破綻するかもしれません。

私たちは、SDGsが掲げるゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」、ゴール10「国や人の不平等をなくそう」という目標実現によって、この問題を解決するヒントを見いだせると考えています。子供を育てる環境はもはや待ったなしの状況です。国際政治学者として活躍される傍ら、早い時期から多角的な少子化対策の必要性を提言されてきた三浦瑠麗さんから、今日は様々なヒントを頂きたいと思っています。

多子社会実現へ向けて

三浦瑠麗(以下、三浦):少子化対策は、女性の意見を集約してもなかなか社会に受け入れられないという側面をもっています。この問題の本質を捉えるには、まず、男女が同じビジョンを共有することが前提になるのではないでしょうか。

勝木:少子化対策と聞くと、国民は、国が何か有効な政策を打ち出すだろうと、受動的に考える傾向があるようです。国民一人ひとりに自分ごととしてこの問題を考えてもらうために、私たちは「多子社会の実現」という言葉を使って、地域の人々と意見を交わすようにしています。

三浦
:少子化が日本の将来にどのような影響を及ぼすか、国民が真剣に考えるための合理的な提起があまりに少なかった。政府もずっと少子化と言い続けてきたものの、ドラスティックな政策を打ち出すことができなかった。変化の兆しが表れたのは、第二次安倍政権が打ち出した成長戦略だったと思います。この国がさらに成長していくためには、将来の納税者を産み育ててくれる女性が人生の様々な局面で、多くの選択肢をもてる環境をつくることに意義がある。そのことを男性たちが理解し始めてくれた。多子社会の実現に向けて、一歩前進した感触をもっています。

勝木:日本の出生率は年々減少傾向にあり、昨年は、92万1000人と過去最低の数字でした。とはいえ、各種調査機関の数字をみると、本当は子供が欲しいという国民の本音が映し出されています。JCには、3万人の会員を対象としたJCCSというアンケートシステムがあり、最新の調査では、実に家庭をもつメンバーの91.05%が子供を複数欲しいと考えていることがわかりました。平均すると、2.45人の希望者数に対し、現状の子供の数は1.39人(厚生労働省「人口動態統計」)と大幅な隔たりがあります。

Text by Hiroshi Shinohara|Photographs by Shuji Goto