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着物をまとった若者たちの姿が往時を思い起こさせる

開拓者精神を育む「謎解きタイムトラベル」|広島県

2019/05/28 15:00

吉本興業が2011年にスタートした「あなたの街に住みますプロジェクト」。07年からは国連と連携し、SDGs×お笑いの力で地域を元気にしている。そんな芸人たちが、未来を笑顔であふれる世界にするためにしていること。

その昔、広島市の中心部が海の中にあったことは意外と知られていない。関ケ原の戦いを眼前に控えた1589年、武田信玄に代わって勢力を伸ばしていた毛利輝元が、当地を戦略拠点に設定。土砂が堆積した三角州に築城を試みたのをきっかけに、干潟が次々と干拓されていったのだ。以来広島は長きにわたって、先人たちがより良いまちを想い、一歩ずつ土地を自ら切り拓いていく、そんな開拓者精神によって発展を続けた。

ところがニューフロンティアは、ある日突然ゼロに振り戻される。原子爆弾だ。広島JCの伊藤伸一郎理事長によると、地域では奇跡の復興を遂げた「戦後」の歴史は多く語られているものの、その精神を育んだ「戦前」の価値は見過ごされがちで若者に継承されにくい状況にあるという。

そこで広島JCが取り組んだ事業が「謎解きタイムトラベル」である。広島の都市的発展の基礎をつくり上げた浅野藩政時代に光を当て、地域の若者たちが、干拓の歴史や、幕末維新に活躍した志士たちの地域や国に対する熱き思いをゲーム感覚で体感するのだ。

じつは、広島JCは平和で安全なまちづくりを実現していく局面で、苦い経験がある。2014年夏、未曾有の集中豪雨による大規模な土砂災害が市内で発生したときのこと。メンバーらは迅速に現場入りを試みたものの、情報が錯綜するなかで支援を求める被災者のニーズを把握しきれず、救援物資の仕分けがうまくいかなかったのだ。

だがそんな逆境が開拓者精神を呼び起こした。後日その経験を生かしてボランティアセンターの運営パッケージをつくりあげる。実際それは4年後に再び地域を襲った豪雨災害で機能。被害を少なくするレジリエント(しなやか)なまちづくりにつながった。

住みます芸人に就いて間もない藩飛礼は、そんな先達の話に終始耳を傾けていた。そしてこうつぶやいた。

「まちを想い、拓いていくなかで、どのように行動するべきかがわかった気がします。私はそれを世に広く知らしめることができそうですよ」


藩飛礼◎ボケ担当「竜児」(1977年広島県生まれ|写真左)とツッコミ担当「松本貴明」(84年同県生まれ|同右)のコンビ。2012年に結成し、今年で8年目。19年に広島県住みます芸人に就任。福山アンバサダー。エフエムふくやま「藩飛礼のとまらんトーク!」などに出演中。

Text by Hideyuki Kitajima