• HOME
  • 持続可能なヘルスケア講座 vol.4 「『笑い』の知られざるチカラ」

fizkes / Shutterstock.comm

持続可能なヘルスケア講座 vol.4 「『笑い』の知られざるチカラ」

2019/04/25 13:00

笑うことが、健康を増進し、老化を遅らせ、寿命を延ばす。さらにガンの予防にもなることをご存じでしょうか。筑波大学の研究者が、2003年、吉本興業と組んで、糖尿病患者にお笑いコンビB&Bの漫才を聞かせるという前代未聞の実験をしました。すると、血糖値が劇的に改善。しかも、より大きく笑った人ほど、よく下がったそうです。このことは、米国の糖尿病専門誌が速報で取り上げ、ロイターが世界中に配信しました。

ところが、その後、筑波大学ではたいへんなことが起きました。いったいB&Bという薬はどこで売っているのかといった問い合わせが世界中から相次いだのです(笑)。

大笑いでNK細胞が活性化

昨今、笑いについての新しい知見が次々と出てきて、ますます面白くなってきました。例えば、免疫力との関係です。人の体には、細菌やウイルスなど異物が侵入すると、それを攻撃して排除する生体防衛機能があります。これが免疫で、その役目を担うのが白血球のひとつ、天然の殺し屋、NK(ナチュラル・キラー)細胞です。手術、抗ガン剤、放射線に次いで第4のガン療法とも言われています。

そんな頼もしいNK細胞の働きを、笑いが、正常な値の範囲に収束させることが実験で明らかになっています。笑うことでガンの進行が遅延したばかりか、睡眠など生活の質が向上したといった症例が数多く報告されています。

ただし、そんな免疫機能は個体差が大きく、加齢とともに確実に低下する。下図のように、病気の発生率も右肩上がりで増えていきます。

ミラーの法則

そこで、ぜひ実践してほしいのが、免疫力を高める笑顔のエクサイズ。きれいな笑い方を習得すれば、いつだって自然に微笑むことができるようになります。

メニューは簡単3ステップ。まずは、少し微笑む感じで、口の両端(口角)を左右均等につり上げた「スモールスマイル」を10秒間つくります。元に戻したら次は、中くらいの「ミドルスマイル」。おしまいは、前歯6本を全部見せた自己最大級の「ビッグスマイル」。目も爆笑しているかたちです。

さあ、毎朝、鏡に向かってトレーニングを始めましょう。私が笑えばあなたも笑う。これを「ミラーの法則」と言いますが、鏡の中というあなたの人生劇場では、あなただけが主役。この際だから一生演じ続けられる名優になってみませんか。きっといつか、ステキな微笑みがえしがあると思いますよ。

『最新版 笑いは心と脳の処方せん』 昇幹夫著(二見書房、2015年)
笑顔でいること。それは健康を増進させ、寿命を延ばし、そしてガンの予防にもなる。しかも、その笑顔はまわりの人たちを楽しい気分にさせ、元気にするのだ。「医者ひとりが病気を治すよりも、笑顔のステキな人がひとりいるだけで、より多くの人が健康になる」と医師である筆者は指摘する。「男の値打ちは笑顔次第」と言ったのは、たしか、銀座のクラブのママとして、また直木賞作家として幾多の男性を見てきた山口洋子の言葉だが、本書は、そんな笑顔が魅力的な美男美女になるための招待状である。


昇 幹夫◎1947年鹿児島県生まれ。九州大学卒業。産婦人科と麻酔科の医師として大阪市や岡山市の診療所に勤務。1994年日本笑い学会の設立に参画し、笑いの医学的効用を研究。診療当直の傍ら、全国で長生きの秘訣を吉本風味のユーモアを交えて講演する自称健康法師。同会副会長、元気で長生き研究所所長。

Text by Hideyuki Kitajima