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Simone Padovani / Shutterstock.com

住宅を1ユーロで販売 シチリアの町で地域活性化の取り組み

2019/05/03 15:00

イタリア・シチリア島西端近くの丘の上に位置する町、サンブーカ・ディ・シチリアでは、地中海の素晴らしい景色を望めるムーア式住宅数十軒が、カプチーノ1杯よりも安い値段で販売されている。

サンブーカでは欧州の他の多くの町と同様、住民が仕事を求めて都会へと流出し、人口が年々減っており、町の活性化を目指す当局は1ユーロ(約125円)というただ同然の値段で家を販売している。

オーストラリアのイタリアニュース専門紙イル・グローボの記事では「牧歌的なイタリアの村に住むことを夢見たことがあるだろうか?」と問いかけた上で、「小さな町サンブーカは、家の購入と転入をできる限り簡単にするため、不動産購入の公式規則と手続きを緩和した」と伝えている。

歴史地区に立つ家は大半が2階建てで、広さは40~150平方メートル、赤みがかったピンク色の石造りで、アーチ型の入口、中庭、ヤシの木やオレンジ、みかんの木が植えられた庭園がある。中には見晴らしの良いテラスがある家もあり、晴れた日には200キロ先のエルバ山も見える。

サンブーカが住宅の格安販売を決めたのは昨年だ。サンブーカは、興味があれば誰でも邸宅を格安で購入できると強調。副町長のジュゼッペ・カチョッポは「宣伝のためだけにこうした取り組みを行った他の町と違い、サンブーカの町当局は販売中の1ユーロの家を全て所有している。私たちは売り手と買い手を結ぶ仲介業者ではない。家を買いたい人は、すぐに買うことができる」と述べた。

伊紙ジョルナーレ・ディ・シチリアによると、アグリジェント県に位置するサンブーカは2016年、「イタリアで最も美しい村」に選ばれた。家を1ユーロで販売する手法はシチリア島の他の自治体でも実施され、成功を収めている。

話がうま過ぎると思うだろうか? 実はこのキャンペーンには裏がある。

販売される住宅の中には非常に古く状態が悪いものもあり、購入者は購入から3年以内に最低1万5000ユーロ(約190万円)を投じた改築をすることに同意する必要がある。また、敷金として5000ユーロ(約60万円)が必要で、これはリフォームが終わり次第返却される。

さまざまな国の外国人が住宅を購入

カチョッポ副町長によると、自然保護区の中に位置した肥沃な地であるサンブーカは「壮麗の都」や「地上の楽園」として知られてきた。「歴史、美しい浜辺、森林や山に囲まれたサンブーカは、デトックスの滞在に適したのどかで牧歌的な保養地だ」(同副町長)

サンブーカでは、減りゆく人口を埋め合わせ、町を荒廃から救うため、その魅力を味わえる外国人を必要としている。町議会の発表によると、サンブーカでは過去5年間でイタリア人に加えフランスやスイス、リトアニア、ドイツ、英国、ハンガリーなどの外国人が歴史地区の家を購入している。

シチリアをかつて支配したアラブ人が830年頃に設立したこの町は、かつてサンブーカ・ザブトと呼ばれていた。ウィキペディアによると、ムッソリーニが1928年に町名から「ザブト」を取り、「シチリアの」を意味する「ディ・シチリア」を加えたとされる。

編集=遠藤宗生