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ビジネスリーダーの流儀 vol.3 「万年筆」

2019/04/03 13:00

ヒト、コト、モノの間には、人生を豊かにする様々な物語がある。粋人とデータからビジネスリーダーが身につけるべきたしなみを学ぶ――。

伊東屋の万年筆マイスターが推薦する、クレバーなビジネスリーダーにふさわしい、極上の万年筆

「欧州では万年筆は、その人の人となりが表れる嗜好品だと思われています。国内でも、ある企業の社長は海外ビジネスの席には必ず国産の蒔絵の万年筆で臨むそうです。日本のモノづくりを、その1本で伝えられると言うのです」

こう話してくれたのは、伊東屋・筆記具コーナー担当の張替英行氏。万年筆選びのコツを教えてくれた。

その国ならではの伝統や特徴がある

「一押しメーカーはスイスのカランダッシュです。一年中気候がよく、水質がきれいなスイスは、ラグジュアリーな金属製品をつくる土壌に恵まれています。レマンシリーズは、彫金とメッキに優れていて、精密さ、繊細さに定評があります」

ドイツブランドでお薦めは、グラフフォンファーバーカステルだという。「鉛筆メーカーからスタートしたこのブランドは伯爵の称号を与えられています。258年の歴史をもち、鉛筆を模した形状、黒檀と金属を融合させたデザインなどは秀逸です」

イタリアならば、ピネイダー。

「ナポレオンが自分の名の入ったカードを人に渡したときから、名刺の文化が始まったという伝説がありますが、その紙をつくったのがピネイダーです。万年筆業界へ本格参入してまだ日が浅いですが、職人の手作り感にあふれたスタイリッシュなデザインに、イタリア製品としての特徴が表れています」

フランスのS.T.デュポンは、ライターのイメージが強いが、近年は筆記具にも力を注ぐ。同社の万年筆の機能美は多くの愛好家に賞賛されている。「大の親日派メーカーとして知られ、東日本大震災のときには桜柄の万年筆をつくり、その売り上げの一部を被災者に寄付されました。緻密さと芸術性を兼ね備え、お客様に寄り添ったサービスで評価を高めています」

万年筆は、エレガントな表情だけでなく、ブランドのストーリーや、その国ならではの伝統や特徴を知ると、より自分好みの逸品と出会えそうだ。

(1)カランダッシュ レマンナイト 11万円 

金属の細かい加工によって、昼夜で表情を変える湖面のように、華やかでありながら、落ち着いた輝きを放つ。

(2) グラフフォンファーバーカステル クラシックコレクション 8万円

エボニーとプラチナコーディングのコンビが瀟洒なデザインで特別感を際立たせる。高級鉛筆づくりのノウハウを活かした書き心地は感動すら覚える。

(3) ピネイダー ジェムストーン 6万円

樹脂系のボディで、職人のこだわりが優雅さのなかに独特な艶を生み出している。その風合いからは、イタリア産ならではの強い個性を感じさせる。

(4) デュポン ラインD 10万円

カチッとする爽快な開閉音は、ライター譲り。漆塗装のクオリティが高く、美的センスにあふれている。細部にまで丁寧にデザインが施されている。

Photograph by Takao Ota