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尖った価値を生み出す 「ストーリー」を語れ!

2019/02/14 15:00

お笑い芸人としてその名を世に知らしめ、ビジネス書を出版すれば全作ベストセラー。絵本作家としてクラウドファンディングを組めば、国内最高額の1億円を調達する。そんな時代をけん引する天才クリエイターに訊く、尖った価値を生み出す「ストーリー」。

加藤 宗兵衛(以下、加藤):西野亮廣さんは、1999年に漫才コンビ、キングコングを結成し、デビューしました。その後、2016年にはクラウドファンディングで国内最高額の1億円を調達し、絵本『えんとつ町のプペル』(幻冬舎)を制作。38万部突破のメガヒットへと導きました。常に挑戦を続けるその姿勢は、同世代を中心に圧倒的な支持を集め、自身が運営するオンラインサロンは国内最大規模に成長しています。ではいったい、そうしたビジネスモデルやアイデアは、どのようにして生み出しているのですか。

西野 亮廣(以下、西野):2つあると思っています。1つ目は、入ってくる情報が変わるように仕事を設計していますね。アイデアが出てこない状態がどういう状況かというと、入ってくる 情報が変わっていないということじゃないですか。同じ人と会って、ルーティンで生活していたら入ってくる情報が一緒なので。例えばウェブサービスをつくって、軌道に乗ったら、すぐにサービスごと誰かに譲って、また新しいものをつくる。だから付き合う人も、ずっと一緒の人もいれば、仕事によっては結構コロコロと変わっています。

2つ目は、とにかくアウトプットです。例えば本を書いて30万部売ろうとすると、何かアイデアがないと普通にはいかないので、あれこれ方法を考える。アウトプットする時、絶対問題にぶち当たるので、問題を解く作業が結果的にアイデアになっていますね。

加藤:なるほど。JCのメンバーは中小企業の経営者が多いのですが、まさに悩みはそこにある。会う人がいつも変わらないのです。地域にいつもいるから、どこの会に行ってもいる人は同じ。それでは新しい情報は入ってこないし、アイデアもアウトプットも出てこない。そんな負のスパイラルから、なかなか抜け出せない。それをどうにか断ち切るためには、やはり新しい価値をつくっていく必要があると思っています。

西野:確かにその通りだと思います。例えば僕がやっているオンラインサロンは、月額1000円の会員制で、入会者と退会者の数字が毎日わかるんですけど、そこで気付いたのが、僕の仕事がうまくいっているときは、実は、入会者は増えないんです。横ばいか、もしかしたら少し減ってしまう。

ところが、増えるタイミングというのが明確にある。それは、成功していようが失敗していようが、とにかく挑戦しているときで、グッと増えるんですね。要は、来週どうなるんだとずっと思わせることができたら、継続的に応援していただけるんです。

加藤:勝ちパターンを抱え込んでいると、応援しなくてもいいという気持ちになり、支援者は減っていくと。

西野:そうですね。つまり、どんどん次に行って挑戦していくほうが、応援しろが増えるというのが数字で出ている。だから勝っているものをずっと抱いているほうが僕は怖いですね。

加藤:とはいえ、挑戦するということは容易ではありません。西野さんは、何かそれを志すきっかけがあったのですか。

先達の敷いたレールに乗っても背中にぶつかるだけ

西野:25歳のとき、フジテレビの「はねるのトびら」という番組がゴールデンに上がって、一番視聴率を取って、そこでこれはもう限界だなと感じました。タモリさんやさんまさん、たけしさんのことを本当に好きなんですけどやっぱりちゃんと追い抜きたいと思ったときに、このシステムでは無理だなと。テレビをつくっている編成の人も彼らと同期や若い頃一緒に汗をかいた人たちで、先輩方が敷いてくださったレールに乗っているだけでは越えられない。そういう勝負だと思ったので、やめよと思ったのが25歳ですね。

加藤:で、何をしたのですか。

西野:どぶ板営業です(笑)。それこそ本当に全国を回って、チケットを手売りして、お客さんと飲みに行って「お願いします、お願いします」というのを繰り返してましたね。

加藤:何か武器はあったのですか。

西野:いや、ないですよ。僕は最終的にこれをやりたいんだという思いを、一人ひとり頭を下げに行って、「もうお前がそんなに言うんやったら応援するよ」という人を、まずは1000人つくろうと。1000人とにかく西野のことを応援するという人がいたら、とりあえず活動が止まることはないだろうなと思って、そのときは武器がなかったので、思いを語るしかなかったですね。あとは、自分の話は3割ぐらいにして、あと7割ぐらいは相手の話を聞いていました。それを今もずっと続けています。

Text by Hideyuki Kitajima|Photographs by Takao Ota